1997 Fiscal Year Annual Research Report
精神疾患の発症機序における情動ストレスの役割に関する研究-情動ストレスC中枢モノアミン・ペプチド神経回路網の関連を精神疾患の動物モデルを用いて明らかにする-
Project/Area Number |
09470205
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小山 司 北海道大学, 医学部, 教授 (10113557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 猛 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (70250438)
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Keywords | 精神分裂病 / うつ病 / 情動ストレス / セロトニン / ドーパミン / コレシストキニン |
Research Abstract |
本研究の目的は、情動ストレスの動物モデルとして恐怖条件付けストレス(CFS)を用い、CFSの中枢モノアミン及び神経ペプチドに対する影響を脳内透析法、RIA、in situ hybridization法などを用いて様々な脳部位において検討し、神経回路網における機能的局在を明らかにすることである。さらに、精神分裂病、うつ病のモデルとして、慢性覚醒剤中毒モデル、Katzの慢性ストレス誘発モデルを用い、CFSに対する反応性を様々な分子生物学的、神経化学的、行動学的手法によって明らかにする。以下に本年度えられた所見を列記する。 1 CFSによって惹起されるすくみ行動を不安の指標として、様々な薬物の効果を検討した。選択的セロトニン(5-HT)再取り込み阻害剤(SSR1)がすくみ行動を抑制することはすでに報告したが、さらにSSR1の効果をLi、5-HT1B/1Dアンタゴニスト、5-HT前駆物質が増強することを見出した。現在、これらの薬物の増強効果の機序を明らかにするために、脳内透析法を用いてモノアミン放出の変化を検討中である。 2 最近注目されている抗うつ薬であり、抗不安薬でもあるモノアミン酸化酵素阻害剤(MAO阻害剤)のCFSに対する効果を検討した。MAO-A、MAO-B阻害剤単独では効果はみられなかったが、これらの併用投与はCFSによって惹起されるすくみ行動を顕著に抑制した。MAO阻害剤のCFSに対する効果の機序を明らかにするために、脳内透析法を用いてモノアミン放出の変化を検討中である。 3 Cholecystokinin(CCK)-B受容体アンタゴニストのCFSによって惹起されるすくみ行動に対する効果はすでに報告したが、本年度はさらにCFSによって引き起こされる脳内モノアミン代謝の変化に対するCCK-Bアンタゴニストの効果を検討した。その結果、CCK-BアンタゴニストはCFSによる前頭前野内側部ドーパミン代謝の先進をさらに増強した。このことは、CCK-Bアンタゴニストの抗不安作用と関連を有するかもしれない。さらに、RIAによって、ストレス時の脳内CCK-8S免疫活性の変化を測定した。まず、フットショックが扁桃体のCCK-8S含量を低下させることを見出し、ついでCFSのCCK-8S含量に対する影響を検討中である。また、ストレス時のCCKmRNAの変化を、in situ hybridization法を用いて検討中である。
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