1997 Fiscal Year Annual Research Report
PETによる気分障害患者の脳内トランスポーターおよび受容体研究
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09470212
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
須原 哲也 放射線医学総合研究所, 高度診断機能研究ステーション, 研究員 (90216490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 秀雄 科学技術庁放射線医学総合研究所, 高度診断機能研究ステーション, 研究員 (50166310)
原田平 輝志 科学技術庁放射線医学総合研究所, 高度診断機能研究ステーション, 研究員 (50181029)
大久保 善朗 東京医科歯科大学, 神経精神医学教室, 講師 (20213663)
鈴木 和年 科学技術庁放射線医学総合研究所, 高度診断機能研究ステーション, 研究員 (90162932)
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Keywords | PET / SSRI / 抗うつ薬 / 体内動態 / 肺 / セロトニントランスポーター / 薬物相互作用 |
Research Abstract |
近年、選択的セロトニン取込阻害薬(SSRI)と三環系抗うつ薬を併用することによって三環系抗うつ薬の血中濃度が上昇することが数多く報告されてきている。この理由としてこれまでSSRIによるチトクロームP450IID6の阻害作用が指摘されてきた。しかしシアノイミプラミンの肺への集積は、SSRIの肺における集積を示唆することから、SSRIと三環系抗うつ薬の相互作用に肺の結合部位が重要な役割を果たしていることが示唆される。我々は、[^<11>C]シアノイミプラミンの体内動態をクロミプラミン負荷前後で比較検討し肺の抗うつ薬の体内動態に与える影響について検討をおこなった。 対象は21-22歳の健常男性ボランティア、全員に研究の目的と内容を説明し、文書による承諾を得た上で研究への協力を得た。測定は[^<11>C]シアノイミプラミン静注後動態測定を行い、その後全身スキャンを行った。同様の方法によってクロミプラミン50mgを経口にて服用後6時間後に再度測定を行った。 静脈から投与された[^<11>C]シアノイミプラミンは投与直後の時点において投与量の約70-80%が肺に集積するのに対して脳への集積は投与量の約2%であった。一方クロミプラミン50mgの前投与によっ[^<11>C]シアノイミプラミの肺への集積はコントロールに比して約40%低下するのに対し、全脳への集積は約2倍に増加した。このことは投与されたセロトニン取込阻害作用のある抗うつ薬の相当部分が肺に蓄積され、類似の性質の薬物の併用によって蓄積された坑うつ薬が肺から放出され、その結果血中濃度、脳内濃度が上昇する可能性を示唆している。近年の遺伝子解析の結果から肺の内皮細胞には高密度にセロトニントランスポーターが発現していることが確認されており、末梢における大量の結合部位の存在は抗うつ薬の体内動態や相互作用を考える上できわめて重要な因子であると考えられる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Suhara T.,et al.: "Lung as a reservoir for antidepressants in pharmacokinetic drug interactions." Lancet. 351. 332-335 (1998)
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[Publications] Girard F.,Suhara T.,et al.: "Direct two-dimensional spectroscopic imaging of lithium." Elsevier Science,Amsterdam. 225-232 (1997)
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[Publications] Suhara T: "Visualizing the site of drug action in living human brain." Recent progress in accelerator beam application. 97-003. 84-85 (1997)
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[Publications] Sassa T.,Girard F.,Suhara T.,et al.: "Direct 2D-spectroscopic imaging of lithium in patients" A journal of psycchiatic Research. 42. 209S (1997)
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[Publications] Suhara T.,et al.: "Role of pulmonary binding site on pharmacokinetics of antidepressants measured by PET" A journal of psycchiatic Research. 42. 239S (1997)
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[Publications] 須藤康彦,須原哲也: "クリニカルPET-臨床応用のためのガイドブック-" 鳥塚莞爾編,先端医療技術研究所, 7 (1997)
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[Publications] 須原哲也: "脳シグナルカスケードと精神疾患" 樋口輝彦・三国雅彦,学会出版センター, 26 (1997)