1997 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病における腎糸球体TGF-β発現増強機構の解明
Project/Area Number |
09470218
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
吉川 隆一 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (50093406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古家 大祐 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (70242980)
羽田 勝計 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (60164894)
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Keywords | 糖尿病性腎症 / TGF-β / メサンギウム細胞 / 糸球体高血圧 / 周期的伸展刺激 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
最近、糖尿病動物の腎糸球体およびブドウ糖過剰状態で培養したメサンギウム細胞において、transforming growth factor-β(TGF-β)の発現が増強していることが報告されている。TGF-βは強力な細胞外基質産生増強作用を有するサイトカインであり、糖尿病性腎症におけるメサンギウム基質過剰蓄積を惹起し得るサイトカインであると考えられる。本研究は、糖尿病の腎糸球体およびブドウ糖過剰状態で培養したメサンギウム細胞におけるTGF-β発現増強機構を、特に糖尿病に特有の代謝異常を中心に、分子レベルで解明することを目的とした。 本年度は研究開始年度であり、糖尿病状態におけるTGF-β発現増強を確認すると共に、次年度に向かってTGF-β遺伝子5′上流転写調節領域を含むconstructの作成を開始した。ストレプトゾトシン誘発糖尿病ラット腎糸球体では、TGF-βのmRNA発現が有意に増加しており、この増加は糖尿病糸球体におけるPKC活性化を阻害することにより抑制された。In vitroではブドウ糖過剰状態で培養したメサンギウム細胞、および周期的伸展刺激を加えたメサンギウム細胞で、TGF-βのmRNAおよび蛋白量が増加していた。これらの成績から、ブドウ糖過剰状態における細胞内代謝異常特にPKC活性化、および糸球体高血圧に起因する圧負荷(周期的伸展刺激)の両者が、TGF-β発現増加に関与している可能性が推察された。この機構を分子レベルで明確にする目的で、TGF-β遺伝子5'上流転写調節領域を含む3種類のluciferase constructを作成し、TGF-β遺伝子発現調節機構の詳細な検討を開始している。
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