1999 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性赤血球膜異常症における遺伝子発現の制御機構と病態発症機序の研究
Project/Area Number |
09470235
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
八幡 義人 川崎医科大学, 医学部, 教授 (70069011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神崎 暁郎 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40148698)
杉原 尚 川崎医科大学, 医学部, 講師 (60140505)
山田 治 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (50104790)
賀来 万由美 川崎医科大学, 医学部, 助手 (20319940)
和田 秀穂 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70191830)
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Keywords | 赤血球膜 / 遺伝子発現 / 遺伝性球状赤血球症 / 分子電顕学 / スペクトリン / Band3 / アンキリン / 遺伝子メチル化 |
Research Abstract |
(I)我が国における赤血球膜異常症症例の集積と検索: (1)平成11年度において遺伝性球状赤血球症(HS)44家系47症例の検索を行った(八幡・山田)。 (2)上記のHS症例について、臨床血液学的検索(山田・杉原)、膜蛋白分析(神崎・和田・三上)、電顕的解析(八幡)、膜物性学的解析(末次)を行い、その病態のphenotypeを決定した。 (3)上記HS家系について、ankyrin遺伝子に関するgenotypeの解析(八幡・神崎・賀来)を行った。その結果、病因遺伝子変異として16種、すなわち、nonsense変異4種、frameshift変異8種、splicing変異4種を同定し得た。これらは、わが国固有の遺伝子変異であることが判明した。これらの変異のうち、4種は常染色体優性遺伝(AD)形式HSに認められたのに対して、他の12種は非AD型HSで認められた。 次に、正常日本人164allelesおよびHS日本人116allelesについて、missense変異2種、silent変異15種、計17種がpolymorphismとして同定された(八幡・神崎・賀来)。 (II) 遺伝子発現に関する制御機構の研究(八幡・神崎・賀来): Band3遺伝子(EPB3)、β-spectrin遺伝子(SPTB)、protein4.2遺伝子(ELB42)のpromoter領域の塩基配列を決定し、同領域の5'-CpG-3'siteにおけるmethylationの程度を検索した。その結果、SPTBでは、赤芽球成熟全過程を通じてunmethylatedであるのに対して、EPB3はUT-7cell lineを含めて全てmethylatedであった。これに対して、ELB42では、UT-7cell lineはunmethylatedであるのに対して、それ以降の成熟段階に入ると、methylatedに転じていることが判明し、methylationが赤芽球成熟段階で膜蛋白の発現制御を行っている可能性を示唆する所見を得た。 (III)赤芽球分化・成熟過程における赤血球膜蛋白に関する遺伝子発現と細胞膜のmorphogenesisの研究(八幡・和田・神崎): 上記の如く、膜蛋白の発現が5'-CpG-3'sitesのmethylationと関連している可能性が高いことから、現在、その膜蛋白発現を分子電顕学的に精査中である。
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[Publications] Wada H: "Late expression of red cell membrane protein 4.2 in normal human erythroid maturation with seven isoforms of the protein 4.2 gene"Exp.Hematol.. 27. 54-62 (1999)
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[Publications] Yawata Y: "Hemolytic disorders in Japan : Diagnosis and Therapy"Asian Med.J.. 42・3. 137-146 (1999)
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[Publications] Yawata Y: "The 5'-CpG-3' sites on the promoter region of red cell membrane protein genes (SPTB,EPB3,and ELB42) are methylation-sensitive,and may contribute to erythroid differentiation"Blood. 94・suppl 1. 188a (1999)
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[Publications] Takashima H: "Germline mosaicism of MPZ Gene in Dejerine-Sottas syndrome (HMSN III) associated with hereditary stomatocytosis"Neuromuscul Disord. 9. 232-238 (1999)
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[Publications] 八幡 義人: "わが国の遺伝性球状赤血球症の特徴"日本内科学会雑誌. 88・増刊. 94 (1999)
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[Publications] 神崎 暁郎: "遺伝性球状赤血球症における膜蛋白欠損と遺伝子解析"日本内科学会雑誌. 88・6. 1003-1009 (1999)
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[Publications] 八幡 義人: "わが国の遺伝性球状赤血球症の特徴"日本内科学会雑誌. 88・9. 1825-1833 (1999)
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[Publications] 八幡 義人: "赤血球膜異常症の解明-その黎明から光輝まで-(I)"臨床血液. 40. 1133-1143 (1999)
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[Publications] Yawata Y: "赤血球膜異常症の解明-その黎明から光輝まで-(I)"臨床血液. 40. 1223-1235 (1999)
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[Publications] Yawata Y: "Characteristic features of genotype and phenotype of hereditary spherocytosis in the Japanese population"Int.J.Hematol.. 71・2. 118-135 (2000)
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[Publications] Yawata Y: "Genotypic and phenotypic expressions of protein 4.2 in human erythroid cells"Gene Function and Disease. (in press). (2000)
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[Publications] Remus R: "The dynamic state of DNA methylation in the promoter regions of the human band 3,protein 4.2 and β-spectrin genes"Blood. (in press). (2000)
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[Publications] 八幡 義人: "Annual Review血液1999"中外医学社. 10 (1999)
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[Publications] 八幡 義人: "内科学"文光堂. 4 (1999)
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[Publications] 八幡 義人: "内科学 第7版"朝倉書店. 13 (1999)
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[Publications] 八幡 義人: "今日の治療指針"医学書院. 2 (1999)
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[Publications] 八幡 義人: "外来治療のすべて"Medical View社. 2 (1999)
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[Publications] Yawata Y: "Conn's Current Therapy"W.B.Saunders. 4 (2000)