1999 Fiscal Year Annual Research Report
腎糸球体の特性を規定する遺伝子群のクローニングと機能解析
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09470237
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山本 格 新潟大学, 医学部, 教授 (30092737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢尾板 永信 新潟大学, 医学部, 助教授 (00157950)
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Keywords | 糸球体 / ディファレンシャルスクリーニング / 構造-機能連間 / リポヌクレアーゼプロテクション法 / インサイチュ-ハイプリダイゼーション |
Research Abstract |
平成9年度と平成10年度でラットの糸球体に特異的に発現している遺伝子を探索、単離し、平成11年度はそのように単離した遺伝子産物の機能を明らかにする研究を行った。そのうちの一つ、olfactomedin-related proteinは糸球体上皮細胞と神経細胞のゴルジ装置に特異的に存在し、そのC末端のSDEL配列はゴルジ装置停留シグナルであることが明らかになった。この分子の機能を検索するために、CHO細胞にこの蛋白を過剰発現させ、その形態学的な変化を検討したが、顕著な形態学的な変化は認められなかったことから、この分子は細胞形態に直接関与するものでは無いことが分かった。一方、この蛋白をゴルジ装置に停留させるには、それと結合する別の分子の存在が想定されたので、Two-hybrid法でそれと結合する分子を探索したが、その分子は検出できなかった。そのため、さらにトランスジェニックマウスやノックアウトマウスを作製して、その機能を解析する必要があると考えられた。その他の糸球体特異的発現遺伝子で新規の遺伝子としては14-2、17-3と名付けたものがあり、その遺伝子の全長cDNAを現在クローニング中である。また、既知の遺伝子で糸球体特異的発現遺伝子として単離されたもののうち、thymosin β4は糸球体上皮細胞に強く発現していることを免疫組織化学法で確認し、そのアクチン結合能から糸球体上皮細胞の収縮、弛緩などがこの細胞の機能に重要であることが想定された。セクレチン受容体ファミリーに属する糖蛋白を翻訳する新規遺伝子が単離され、その推定アミノ酸配列よりその蛋白は2個の免疫グロブリン様構造を持つ膜7回貫通蛋白であることからIg-Heptaと名付けられた。この糖蛋白は腎と肺に多く、腎では集合管の介在細胞と肺では肺胞上皮に局在することから酸-塩基バランスの調整に関係していることが示唆された。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] Kondo D 他: "Localization of olfactomedin-related glycoprotein isoform (BMZ) in the Golgi apparatus of podocytes in rat kidneys."J Am Soc Nephrol. (印刷中).
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[Publications] Kawachi H 他: "Cloning of rat nephrin: Expression in developing glomeruli and in proteinuric states."Kidney International. (印刷中).
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[Publications] Abe J 他: "Ig-Hepta: a novel member of the G protein-coupled hepta-helical receptor (GPCR) family that has immunoglobulin-like repeats in a long N-terminal extracellular domain and defines a new subfamily of GPCRs."J Biol Chem. 274. 19957-19964 (1999)
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[Publications] Adhikary LP 他: "Expression profile of extracellular matrix and its regulatory proteins during the process of interstitial fibrosis after anti-glomerular basement membrane antibody-induced glomerular sclerosis in SD rats."Pathol International. 49. 726-730 (1999)
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[Publications] Kihara I 他: "Origin of hyperplastic epithelial cells in idiopathic collasping glomerulopathy."Histopathlogy. 34. 537-547 (1999)
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[Publications] Yaoita E 他: "Identification of renal podocytes in multiple species: higher vertebrates are vimentin positive/lower vertebrates are desmin positive."Histochem Cell Biol. 111. 107-115 (1999)
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[Publications] Koyama Y 他: "Expression and localization of aquaporins in rat gastrointestinal tract."Am J Physiol. 276. C261-C627 (1999)
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[Publications] 山本 格: "Annual Review 腎臓:糸球体の特性や糸球体腎炎に関与する遺伝子のクローニング"中外医学社. 68-73 (1998)
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[Publications] 山本 格: "内科学:糸球体疾患の成因と進展秩序に関する最近の知見"医学書院(印刷中).