1997 Fiscal Year Annual Research Report
抗エンドセリン変換酵素遺伝子による急性腎不全の遺伝子治療に関する研究
Project/Area Number |
09470238
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
冨田 公夫 熊本大学, 医学部, 教授 (40114772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野々口 博史 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (30218341)
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Keywords | エンドセリン / エンドセリン変換酵素 / 急性腎不全 / 受容体 / サイクロスポリン |
Research Abstract |
ラットにサイクロスポリンを投与することにより急性腎不全モデルを作成し、検討を行った。サイクロスポリンの投与により、血漿エンドセリン濃度は1時間後より上昇し、6時間後まで高値を示した。このとき腎糸球体においてppET-1 mRNAは30分後より上昇していた。しかし、腎糸球体におけるECE-1mRNAは6時間後より低下を始め約48時間後まで抑制され72時間後にコントロールレベルまで回復した。蛋白レベルでも腎糸球体および腎髄質においてECE-1発現が抑制されていた。A型受容体及びB型受容体 mRNAも6時間から24時間において抑制されていた。これらのことよりサイクロスポリンによる急性腎不全の発現にはppET-1 mRNAの発現増加が関与しており、ECE-1は、むしろ抑制的に働いている可能性が示唆された。このことはET-1自身によるnegative feedbackの存在を伺わせるが、現在のところその機構の報告はなく、サイクロスポリンに自身による直接作用の可能性もある。ECE-1mRNAの抑制については、競合的PCRによるmRNAの定量化を行っており、また蛋白レベルでの低下も認めていることから、恐らくECE-1にはエンドセリン自身などによる何らかの制御機構が存在するものと思われる。最近、血管内皮細胞、腎メサンギウム細胞及び腎尿細管細胞においてエンドセリン-1自身によるオートインダクションが存在することが報告されており、これは一度エンドセリン産生が高まる状態に陥ると、そのオートインダクションによって過剰のエンドセリンが産生され続け、病態が悪化していく可能性を示唆している。私達のサイクロスポリン投与による急性腎不全で見られたECE-1の抑制は、過剰に産生されるエンドセリン-1にnegative feedbackをかけている可能性が示唆される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] S. Naomi,: "Endothelin-1 inhibits endothelin converting enzyme-1 expression in cultured rat pulmonary endothelial cells." Circulation. 97. 234-236 (1998)
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[Publications] Y. Kitamoto,: "Vascular endothelial growth factor (VEGF) is an essential molecule for mouse kidney development : glomerulogenesis and nephrogenesis." J. Clin. Invest.,. 99. 2351-2357 (1997)
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[Publications] Kitamura, K.,: "Inhibition of nitric oxide synthase activity and nitric oxide-dependent calcium influx inrenalepithelial cells by cyclic adenosine monophosphate : implications for cell injury." J. Am. Soc. Nephrol.8. 558-568 (1997)
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[Publications] Disashi Tumba,: "Endothelin converting enzyme-1 gene expression in the kidney of spontanously hypertensive rats." Hypertension. 30. 1591-1597 (1997)
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[Publications] H. Nonoguchi,: "Low-protein diet and progression of chronic renal failure." Lancet. 350. 146- (1997)
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[Publications] Jun Koike,: "Quasi-steadiness approximation for the two-compartment solute kinetic model." Kidney Int.52. 821-831 (1997)