1998 Fiscal Year Annual Research Report
電解質代謝異常の成因におけるナトリウム輸送体遺伝子の役割
Project/Area Number |
09470239
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
浅野 泰 自治医科大学, 医学部, 教授 (00050500)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 修一 自治医科大学, 医学部, 助手 (90285776)
雨宮 守正 自治医科大学, 医学部, 助手 (90275678)
川上 潔 自治医科大学, 医学部, 助教授 (10161283)
武藤 重明 自治医科大学, 医学部, 講師 (40190855)
|
Keywords | ナトリウムポンプ / グルココルチコイド / 高浸透圧 / 血管平滑筋 |
Research Abstract |
1. glucocorticoidによる血管平滑筋細胞(VSM)ナトリウム(Na)ポンプ遺伝子の発現制御ラット大動脈より単離・培養したVSMにCorticosteroneまたはその代謝産物である11-dehydrocorticosterone(DC)を添加するとNaポンプ遺伝子α1鎖、β1鎖mRNAレベルはともに時間および濃度依存性に増加し、これはα1鎖、β1鎖レベルの上昇、Na-K-ATPase活性の上昇を伴っていた。CSおよびDCのα1鎖、β1鎖mRNA発現はmRNA転写阻害薬であるactinomycinD、蛋白合成阻害薬であるcycloheximide、glucocorticoid receptor阻害薬であるRU38486、mineralocorticoid receptor阻害薬であるZK91587にて抑制された。また、11β-hydroxysteroid dehydrogenase(11βOHCS)阻害薬であるcarbenoxoloneはCSのα1鎖、β1鎖mRNA発現には影響しなかったが、DCのα1鎖、β1鎖mRNA発現は完全に抑制した。両側副腎摘出したラットにCSまたはDCを投与すると12時間後の大動脈ではα1鎖、β1鎖mRNAレベルの増加が認められた。以上より、CSによるNaポンプ遺伝子の発現は11βOHCSとは独立した機序で、またDCによるNaポンプ遺伝子の発現は11βOHCSを介した機序(恐らくDCからCSへの変換を介して)で制御されていることが明らかになった。 2、 高浸透圧刺激に対するVSMナトリウム(Na)ポンプ遺伝子の発現制御 MEMにて培養したVSMをmannitolまたはglucoseを添加した高浸透圧溶液にさらすと、Naポンプ遺伝子α1鎖、β1鎖mRNAレベルは時間および濃度依存性に増加し、これはα1鎖、β1鎖タンパクレベルの上昇、Na-K-ATPase活性の上昇を伴っていた。一方、ureaによる高浸透圧溶液ではいずれも変化しなかった。mannitol及びglucoseによる高浸透圧刺激に対するβ1鎖mRNAの増加はprotein kinaseC、tyrosine kinaseの活性化が関与していが、α1鎖mRNAの増加はこれらkinaseの活性化とは無関係に出現した。また、α1鎖遺伝子の5′隣接領域(-1537〜+261)、β1鎖遺伝子の5′隣接領域(-764〜+129)はmannitol及びglucoseによる高浸透圧刺激に反応するエレメントを含んでいた。以上より、mannitol及びglucoseによる高浸透圧刺激は転写を介してNaポンプ遺伝子の発現を制御していることが明らかになった。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Muto S.: "Effect of hyperosmolality on Na,K-ATPase gene expression in vascular smooth muscle cells" Journal of Membrane Biology. 162. 233-245 (1998)
-
[Publications] Muto S.: "Corticosterone and 11-dehydrocorticosterone stimulate Na,K-ATPase gene expression in vascular smooth muscle cells" Kidney International. 54. 492-508 (1998)