1998 Fiscal Year Annual Research Report
腎臓のアンジオテンシンIIの新しい産生経路の臨床的意義
Project/Area Number |
09470240
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
猿田 享男 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (70051571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 正典 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20270514)
久保田 英司 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40255451)
松田 洋人 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80245498)
林 晃一 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80164937)
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Keywords | キマーゼ / アンジオテンシン / 腎臓 / 輸入細動脈 / 輸出細動脈 / 腎血行動態 / アンジオテンシン受容体 |
Research Abstract |
アンジオテンシンII(AII)は血液中のみならず腎臓内でも産生され、その濃度はむしろ腎臓局所の方が高いとされている。さらに近年アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の腎障害進展阻止作用が明らかになり、腎臓内でのAII産生様式を解明することが腎不全の進展予防の鍵を握ると考えられる。本研究では、腎AII産生系におけるACE依存性・ならびにキマーゼ様酵素を含むACE非依存性経路の関与を検討した。非ACE経路に関しては、ヒトと類似したAII産生経路を有する犬を用いて、腎微小血管レベルでの反応の解析を生体内CCDビデオカメラ法で行うことにより、アンジオテンシン産生経路の差による腎微小血管の及ぼす影響の評価を行った。まず、腎皮質組織内でのACE活性をKasahara法により測定したところ、172±9nmol/min/g tissueで、髄質の活性(15±1 nmol/min/g tissue)より明らかに高値であった。一方、AII濃度は、皮質・髄質ともにほぼ同程度の濃度であった。さらに、キマーゼ様酵素の選択的基質(ACEはアンジオテンシンIIを産生できない)として[Pro^<11>,D-Ala^<12>]-アンジオテンシンI (以下S)を用いて、非ACE経路によるAII産生を検討した。SとアンジオテンシンIのイヌの腎動脈投与に対する血圧、腎血流量の反応の比較では、同程度の昇圧・腎血流量減少をもたらすためには、SはアンジオテンシンIの約100倍の濃度が必要であった。さらにneedle型CCDカメラを用いて、輸入・輸出細動脈の血管径の変化を評価したが、上記と同様にSによる反応は感受性の低下とともに最大収縮の程度も現弱していた。100nmolのSによる腎血流量は30%の減少を示し、これはアンジオテンシンタイプ1受容体拮抗薬で完全に抑制された。一方、キモスタチンで抑制される部分をキマーゼによるアンジオテンシンII産生と見なしたが、Sによる腎血流量の低下のうちキマーゼ経路を介した作用は約50%にとどまった。さらに、腎臓を表層部、深層皮質部、髄質部に分けて膜分画を精製し、アンジオテンシンIと反応させ産生したアンジオテンシンIIを逆相HPLCで定量し、captoprilとキモスタチンで抑制される産生能を各々ACE活性、キマーゼ様活性とした。その結果、生化学的にも腎組織内においてキマーゼ経路を介したアンジオテンシンII産生はACE経路のそれと比較して、約2割にとどまった。以上の結果より、正常腎においてはキマーゼ活性によるアンジオテンシンII産生経路の役割は少ないと考えられた。一方、糖質コルチコイド投与により犬に高血圧を発症させた場合、腎組織のACE活性が抑制されるとともに、AII含有量も低下した。このことより、糖質コルチコイド投与下ではACE活性の抑制で非ACE経路によるAII産生が代償的に増加する可能性は少ないと考えられた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Murakami M: "Role of angiotenisn II generated by angiotensin converting enzyme-independent pathways in canine kidney." Kidney International. 52. s132-s135 (1997)
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[Publications] Takenaka T: "Cellular mechanisms medating rat renal microvascular constirction by angiotensin II." Journal of Clinical Investigation. 100. 2107-2114 (1997)
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[Publications] Matsuda H: "Role of bradykinin in angiotensin converting enzyme inhibitor induced dilation of renal microvessels in vivo" Journal of Hypertension. 16. s136 (1998)
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[Publications] Matsuda H: "Potential role of endothelium-derived hyperpolarizing factor(EDHF)induced by ACE-I in renal microcirculation in vivo." Journal of American Society of Nephrology. 9. 342 (1998)
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[Publications] 林 晃一: "腎障害を有する高血圧に対するACE阻害薬とAII拮抗薬:アンジオテンシン変換酵素とアンジオテンシン受容体拮抗薬" 循環器科. 43. 38-44 (1998)
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[Publications] 林 晃一: "腎疾患におけるAII拮抗薬とACE阻害薬の比較" 血圧. 5. 577-580 (1998)