1999 Fiscal Year Annual Research Report
胎児期から新生児期における環境変化に対する出生早期の呼吸・循環器系機能の適応
Project/Area Number |
09470242
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
桑原 慶紀 順天堂大学, 医学部, 教授 (20010324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 靖 順天堂大学, 医学部, 講師 (70207926)
吉田 幸洋 順天堂大学, 医学部, 助教授 (90166950)
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Keywords | 実験周産期医学 / 人工胎盤 / 体外循環 / 呼吸様運動 / スペクトル解析 |
Research Abstract |
胎児期から新生児期への環境変化に対する呼吸・循環系機能の変化はダイナミックであるが、その適応メカニズムは不明な点が多い。本研究では臍帯動静脈AVECMOによる子宮外胎仔保育システムを用いて胎児期から新生児期への環境変化に対する呼吸、循環器系の適応機序を解明することを目的として研究を行った。 本年度は在胎125日前後(満期145日)の未熟ヤギ胎仔を用いて臍帯動静脈A-V ECMOにより子宮外保育実験を行った。 本年度はヤギ胎仔を子宮外保育より離脱させることに先立ち、呼吸・循環器系の変化について未熟による特殊性について検討するための生態パラメータの変化の解析のため、呼吸様運動を認めるphaseにおいて胎仔の心拍と血圧の変動におけるスペクトル解析を行い波形成分の同定を行った。さらに胎仔のbehavioral state(心拍、血圧、呼吸様運動、胎仔脳波、胎仔筋収縮)を明確にし、その関連性について同様の解析を行い定量的に評価を行った。胎仔心拍、血圧におけるスペクトル解析によると、各々3つから時に4つのピーク波形に分けられた。そして、副交感神経成分と胎仔呼吸の成分が含まれる四番目のピーク波は副交感神経遮断により減少し、副交感神経成分に由来することが示された。その後胎仔呼吸様運動が認められる状態で再度副交感神経遮断を行ったが、ピーク波は同様に減少し胎仔呼吸成分と思われるピーク波は認められなかった。この段階における胎仔脳波はlow-voltage phaseとhigh-voltage phaseのうち、主にhigh-voltageよりlow-voltageへと移行する際に胎仔呼吸は活発になった。また、同時期に筋収縮を認めた。 この非周期的で不連続に発生する胎仔呼吸様運動から分娩後周期的で連続性のある新生児呼吸へと変遷を遂げるそのメカニズムの原因として寒冷刺激や、胎盤との離脱、大気との接触を考え羊水温度を変化させることによる呼吸様運動の状態や、羊水面より胎仔頭部を露出させることによって生じる呼吸の変化について検討を進めている。
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