1997 Fiscal Year Annual Research Report
非小細胞型肺癌における末梢血を用いた分子生物学的診断法に関する研究
Project/Area Number |
09470246
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
天野 純 信州大学, 医学部, 教授 (20138283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢満田 健 信州大学, 医学部, 助手 (20273089)
藤森 実 信州大学, 医学部・附属病院, 助手 (00262725)
福嶋 義光 信州大学, 医学部, 教授 (70273084)
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Keywords | 非小細胞型肺癌 / 遺伝子変異 / 末梢血遊離DNA / マイクロサテライトマーカー / D3S1284 / D3S1300 / TP53 / D21S1245 |
Research Abstract |
1.本年度中に実施し終えた事:非小細胞型肺癌患者の末梢血遊離DNAにおいて検出可能な遺伝子変異が、どの程度肺腫瘍組織の遺伝子変異を反映することができるかを明らかにするため、以下の実験を行った。外科的に切除された原発性肺癌手術症例(腺癌34例、扁平上皮癌23例)の術前血清、および摘出標本の癌部組織ならびに非癌部肺組織の凍結標本を材料とした。これまでに非小細胞肺癌において高頻度の欠失が報告されている第3染色体短腕と第17染色体短腕の領域、および肺小細胞癌などで抹消血遊離DNA中に癌由来のmicrosatellite 変異が高頻度に出現することが報告されている第21染色体の領域について検討した。D3S1284、D3S1300、TP53、D21S1245のマイクロサテライトマーカーを用いてそれぞれの領域の欠失を検索し、腫瘍で認められる変異が末梢血遊離DNAで検出できるかどうかを検討した。その結果、D3S1284、D3S1300、TP53、D21S1245において、肺扁平上皮癌ではそれぞれ50%、36%、29%、0%の、肺腺癌ではそれぞれ5%、12%、15%、0%の欠失を認めた。しかし、いずれの症例においても、その末梢血遊離DNA中では肺癌組織と同一の欠失を検出し得なかった。非小細胞型肺癌患者の末梢血遊離DNAではマイクロサテライトマーカーを用いた遺伝子欠失検索の手法は有用ではないと考えられた。 2.本年度中に開始し、実験中の事:肺癌において高頻度に認められるk-rasおよびp53遺伝子の点変異について着目した。肺腫瘍組織におけるこれらの遺伝子変異を検出し、末梢血遊離DNA中に同一の変異が認められるかどうかについて、現在検討中である。 3.来年度に実施予定の事:これまでに非小細胞型肺癌で報告のない遺伝子変異領域を新たに見い出す目的でcomparative genomic hybridization(CGH)法を用いて、肺高分化型腺癌における染色体上の変異の検索をすする。
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