1998 Fiscal Year Annual Research Report
臓器移植におけるグラフトへの炎症・抑制性サイトカイン遺伝子導入療法の開発
Project/Area Number |
09470257
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
北島 政樹 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90112672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 信義 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50162706)
松本 賢治 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20129662)
若林 剛 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50175064)
島津 元秀 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70124948)
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Keywords | IL-1Rg / 遺伝子導入 / 組換えアデノウイルス / 虚血再灌流 / 肝障害 / 生存率 / IL-6 / TNFα |
Research Abstract |
咋年までにわれわれはヒト IL-IRaをクローニングし、in vitro およびin vivoにおける肝細胞への遺伝子導入と発現を確認したことを報告した.今年度、この高濃度発現によってラット肝の虚血両灌流障害が劇的に抑制されることを確認したので詳細を報告する。 【方法】1)ヒトIL-IRa cDNAをクローニングし、これを発現する組換えアデノウイルスpAdexCAIL-IRaを作製した。2)Wistar系雄性ラットをエーテル麻酔下に開腹し、腸間膜静脈の穿刺によりin vivoでの遺伝子導入を行った。経時的に下大静脈血血清中のIL-IRa値をELISAにより定量し、発現したIL-IRaの血中動態を検討した。3)ラット肝に遺伝子導入後24時間において、80%の肝部分温虚血再灌流を行い、再灌流後180分の時点で血清ALT,AST,IL-6,TNFα、および肝組織中のIL-6,TNFαを測定、また肝組織像を対照と比較することにより、肝障害の抑制効果を検詞した。4)上記モデルにおいて、対照群との7日間生存率の比較検討を行った。 【結果】pAdexCAIL-IRaによるラット肝へのin vivo遺伝子導入後、24時問における血清中のIL-IRa値は1.27±0.56オg/mlまで上昇し、その後14日目まで指数関数的に減少した。遺伝子導入後24時問におけるラット肝虚血再灌流モデルでは、再灌180分後の血清ALT、ASTが対照群で5247.3±3318.8IU/L、5863.2±3932.7IU/Lに対し、IL-IRa遺伝子導入群では562.3±50.2IU/L、584.0±17.7IU/Lと、有意な障害抑制効果が認められた。肝組織中のIL-6,TNFαはIL-IRa遺伝子導入群で有意に低下しており、肝組織像においても著明な障害抑制効果が認められた。7目間生存率もIL-IRa遺伝子導入群で有意な改善を認めた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 若林 剛,他: "〔Critical CareのためのBasic Science〕炎症の分子機構" 集中治療. 10・5. 475-484 (1998)
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[Publications] 島津元秀,他: "生体肝移植児のケア現況と今後の展望をめぐってドナー候補者の評価と選択" 小児看護. 21・1. 86-90 (1998)
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[Publications] Yoshida M,et al: "Rebamipide atrenuates gastric microcirculatory disturbances in the early period after thermal injury in rats." Dig Dis Sci. 43・9. 148-153 (1998)
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[Publications] Yoshida M,et al: "A protease inhibitor attenuates gastric erosions and microcircula-tory disturbance in the early period after thermal injury in rats." J Gastroenterol Hepatol. 13・1. 104-108 (1998)
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[Publications] Yamada M, et al: "Nuclear matrix protein,tumor necrosis factor-alpha,and nitrite/alpha,and nitrite/nitrate levels in patients with multiple organ-." Res Commun Mol Pathol Pharmacol. 100・1. 92-104 (1998)
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[Publications] Shito M,et al: "Pathophysiological response of cytokines and vasoactive agents in patients under going total gastrectomy." Eur J Surg. 164・2. 115-118 (1998)
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[Publications] 若林 剛: "炎症細胞とサイトカイン" 医歯薬出版株式会社 監修・編集 玉熊 正悦, 600 (1997)
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[Publications] 若林 剛: "抗サイトカイン療法による敗血症性ショック治療の試み" 株式会社医薬ジャーナル社 今西 二郎 笹田 昌孝 編, 275 (1998)