1998 Fiscal Year Annual Research Report
ブタ肝臨床応用にむけた急性拒絶反応対策の確立-補体活性抑制とKupffer細胞機能亢進の抑制
Project/Area Number |
09470266
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
猪飼 伊和夫 京都大学, 医学研究科, 講師 (60263084)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岡 義生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90089102)
山本 雄造 京都大学, 医学研究科, 助手 (70281730)
|
Keywords | 人工肝臓 / 体外灌流 / 異種免疫反応 / Kupffer細胞 / 塩化ガドリニウム / 補体 / 補体制御因子 |
Research Abstract |
1. ラットの肝臓をヒト血液で灌流する異種反応モデルにおいて、Kupffer細胞を特異的に抑制するGdC13をラットに前投与した群では非投与群に比較して肝傷害が増強することが明かとなった。その機序を解明する目的で、GdC13投与群と非投与群より分離培養したKupffer細胞を用いて実験を行った。新鮮ヒト血清を含む培地でこれらの細胞を培養した後に、異種免疫反応に関与する液性因子であるヒト補体(C3)及び抗体(IgG、IgM)に対する抗体を用いて免疫蛍光法にて染色したところ、GdC13非投与群ではKupffer細胞の細胞質にC3の取り込みが見られたのに対して投与群では取り込みは抑制されていた。このことから、Kupffer細胞の機能抑制が異種反応を増強する機序として、Kupffer細胞が異種の補体成分を取り込む作用が関与している事が示唆された。 2. ブタ肝を用いた体外異種灌流装置をヒトに臨床応用するシミュレーションとして、健常ヒヒにブタ肝を接続する交差灌流実験を行った。灌流装置の改良やヒヒの全身管理の改善によって、ヒヒ及びブタ肝の状態を比較的良好に保ちながら6時間まで安定した灌流を行い得るようになったが、灌流が長時間に及ぶほど進行性の溶血が著明となり、これには何らかの免疫学的機序が関与していると考えられた。現在その機序の解明に取り組むと共に、異種肝体外灌流が免疫系に与える影響を調べる目的でヒヒのリンパ球機能の解析を行っている。またヒト補体制御因子であるDAF遺伝子導入ブタの肝臓を体外灌流装置に応用するための実験も計画している。
|