1999 Fiscal Year Annual Research Report
進行消化器癌の長期寛解導入を目指した経皮的臓器潅流化学療法の新展開
Project/Area Number |
09470267
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
具 英成 神戸大学, 医学部, 助教授 (40195615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 武 神戸大学, 医学部・附属病院, 医員
富永 正寛 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (70188796)
黒田 嘉和 神戸大学, 医学部, 教授 (70178143)
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Keywords | 進行消化器癌 / 高用量化学療法 / 臓器潅流化学療法 |
Research Abstract |
本研究では、平成10年までに肝癌に対する経皮的肝潅流化学療法の反復治療が最大4回まで簡便かつ安全に行なえることが実証されている。さらに反復治療により高度進行肝癌(stageIVA)に対して有効率63%、5年生存率30%と優れた成績が得られている。平成11年ではこれらの成績をもとに腫瘍径、脈管侵襲、肝内転移などの因子から切除後再発高危険群を設定し、これらを対象に予防的に肝潅流を施行するrandomized studyをおこなってきた。その結果、肝潅流施行例ではコントロールに比べ有意に再発率、無再発生存率が向上することが示された。また従来切除不能とされた症例の中で主腫瘍の減量肝切除を行った上で肝潅流を組み合わせるアプローチを行い、切除率とともに生存率の向上が得られている。次に転移性肝癌に関しては大腸癌、カルチノイドなどのいずれも多発性肝転移に対しシスプラチン(150-200mg/m^2)を主剤とする設定を行い、反復例ではアドリアマイシン(100-150mg/m^2)や5-FU(1000-5000mg/m^2)も使用した。その後リザーバーからの5-FU500mg/dayの持続動脈内投与の治療を追加している。現在まで大腸癌肝転移例は8例で有効率は75%、CEAなどの腫瘍マーカーの低下期間は平均8ヶ月と著明に延長し、これまで効果的な治療法のなかった大腸癌多発肝転移の長期寛解導入を達成する上で有望な治療法と考えられた。下大静脈分離・活性炭吸着法としての骨盤潅流化学療法については、本年は産科婦人科学講座と協力して進行子宮癌に対して本システムを用いてシスプラチン大量投与を施行した。この治験によりシスプラチン200mg/m^2で2週間隔、計2回までは安全に投与できることが明らかとなり、今後直腸癌の局所再発治療を実施する上でも基礎的データを得ることができた。さらに膵癌については従来予後不良で高率な肝転移が問題であるが、現在膵癌切除症例に対し積極的に切除後肝潅流化学療法を追加し(本年は3例に施行)、その再発防止効果を経過観察中である。また臨床的には肝潅流化学療法反復時に末梢血幹細胞移植を併用することで抗癌剤の副作用である骨髄抑制を軽減しさらなる超高用量化学療法の可能性を検討している。 以上、これまでの実験的・臨床的データに基づき臨床例を蓄積するとともにその長期成績を検討し、経皮的臓器潅流化学療法の集学的治療体系の確立をめざしているところである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 具英成: "経皮的肝潅流による高用量化学療法の現状"肝胆膵. 39. 869-876 (1999)
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[Publications] 岩崎武: "進行肝細胞癌に対する高用量肝動注化学療法:endovascular interventionを応用した低侵襲性外科治療としての経皮的肝潅流システムの有用性"日本血管外科学会雑誌. 8. 399-405 (1999)
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[Publications] 具英成: "StageIV肝細胞癌に対する経皮的肝潅流化学療法(PIHP)のQOLと遠隔成績"日本消化器外科学会雑誌. 32. 1075-1079 (1999)