1999 Fiscal Year Annual Research Report
低体温脳分離体外循環における脳保護の基礎的及び臨床的研究
Project/Area Number |
09470281
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Research Institution | Oita Medical University |
Principal Investigator |
葉玉 哲生 大分医科大学, 医学部, 教授 (00145377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 英理子 大分医科大学, 医学部, 医員
迫 秀則 大分医科大学, 医学部, 助手 (20315344)
山田 和廣 大分医科大学, 医学部, 教授 (20053027)
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Keywords | S-100蛋白 / 脳分離体外循環 / 人工心肺 / 脳脊髄合併症 |
Research Abstract |
心臓手術における体外循環中,ことに脳分離体外循環中の脳脊髄合併症はいまだその早期発見,治療に難渋している。脳脊髄合併症の早期診断の指標として血清中のS-100蛋白を測定している。 まず,脳分離体外循環(SCP)症例9例(大動脈解離7例,胸部大動脈瘤2例),非脳分離体外循環(non-SCP)症例6例(心房中隔欠損症1例,弁置換術2例,冠動脈大動脈バイパス術3例)について体外循環中および術後24時間のS-100蛋白値を測定したところS-100蛋白は時間経過と共に上昇し,体外循環終了直後に最大値となり,非合併症例では24時間後には術前値に低下していたのに対し,合併症例では24時間後も上昇が遷延していた。 そこでSCP症例8例(大動脈解離3例,胸部大動脈瘤5例)において体外循環中および体外循環終了後より5時間,10時間,15時間,20時間,24時間と頻回測定を行ったところ,非合併症例においてS-100蛋白は5〜10時間後で術前値にもどっており,体外循環終了後5〜10時間付近で脳合併症の有無を判定する指標としてS-100蛋白が有用であることが示唆された。 また,S-100蛋白は,体外循環時間,大動脈遮断時間,脳分離体外循環時間,年齢とは相関しなかった。 現在,脳分離体外循環における脳合併症の他に下行大動脈瘤手術における脊髄合併症の指標としても血清中および脊髄液中のS-100蛋白値を測定しており,脳保護,脊髄保護の早期診断の指標としてS-100蛋白は有用であると考える。
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