1997 Fiscal Year Annual Research Report
全心機能置換型ターボ式人工心臓における制御と生理に関する研究
Project/Area Number |
09470282
|
Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
荒木 賢治 宮崎医科大学, 医学部, 講師 (70274777)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 誠司 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (80274794)
中村 都英 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (10207871)
|
Keywords | 人工心臓 / 補助循環 / 定常流 / 非拍動流 / シミュレーション / 制御 / 模擬循環回路 / 溶血 |
Research Abstract |
今年度は模擬循環回路と動物実験を行い、左心補助と右心補助の制御法確立のための基礎データの蓄積を行った。 1.模擬循環回路におけるシミュレーション 制御シミュレーション用の特別な模擬回路を作成した。模擬回路は、3つのリザ-バ(左房、動脈血管床、静脈血管床)、サック型拍動流ポンプ(左室)、斜流ポンプ、空気ダンパー(動脈コンプライアンス)、レジスタンス(末梢血管抵抗)よりなる。左房圧、左室圧、大動脈圧、心拍出量、ポンプ流量、ポンプ回転数、ポンプモータ電流をリアルタイムでコンピュータに取り込み処理した。電流波形の振幅を平均値で除した値を電流振幅指数(ICA)とした。左室脱血大動脈送血にてモータ回転数を上げると、ICAはt点にてピークを生じた後減少し、s点にて再び増加した。t点はポンプが部分補助から完全補助に移行する点に、s点は顕著な吸い付きが発生する点に一致した。この現象はポンプやモータを変えても再現性が得られた。 2.左心補助制御法 ビ-グル犬8頭を用い、左室脱血にて左心バイパスを行い、同様の計測を行った。左冠動脈一時的遮断と急速輸液により、収縮能(LVdp/dt)と前負荷(LVEDP)を変動させ、その影響を見た。その結果、t点でのポンプ流量は、LVEDPと有意に正の相関があったが、LVdp/dtや大動脈圧とは相関がなかった。よって、t点を目標に制御することにより、前負荷依存性の制御が可能と考えられた。また、合わせて行ったポンプの血液適合性試験にて、溶血は許容範囲内で、血栓形成を示唆する所見は認められなかった。 3.右心補助制御法 ビ-グル犬4頭を用い右心バイパスを行い、肺動脈絞扼ならびに急速輸液により後負荷と前負荷を変動させた。その結果、右心補助ではt点は現れなかったが、s点は明らかであった。s点での流量は前負荷に相関した。よって、s点制御により、前負荷依存性の制御が可能と考えられた。
|