1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09470292
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山下 純宏 金沢大学, 医学部, 教授 (90026948)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立花 修 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (40211362)
|
Keywords | 悪性神経膠腫 / カスパーゼ3 / Fas / アポトーシス |
Research Abstract |
神経膠芽腫が摘出時多数の壊死巣が認められるという脳腫瘍病理学上の基本問題を分子生物学的に解明し、この機序を利用して治療に結び付けることを目指しており、壊死発現機構を壊死誘発因子と壊死原因遺伝子の解析をおこなった。 (1) 悪性神経膠腫の細胞株U252MG、T98G、U373MGに対して、生体内に極めて近い状態で壊死誘発因子となりうるもの、すなわち1)低酸素、2)低栄養状態の刺激を加えて細胞死の誘発が可能かどうかを調べた。この結果72時間の刺激では細胞死を誘発することができなかった。変わって抗癌剤では腫瘍細胞死を誘発することができた。しかし、この際、腫瘍細胞株や抗癌剤の種類によって細胞死はアポトーシスであったり、ネクローシスであったりと異なる死にかたを呈した。抗癌剤の刺激のためかFas/Fas-ligand経路は腫瘍細胞死には関与しなかった。カスパーゼの中ではCasp-3のみが抗癌剤による細胞死に関与し、T98Gに対するVP-16刺激でpro-Casp-3の増加と活性化が得られ、アポトーシスが誘発された。このアポトーシスは、Casp-3の阻害剤で抑制された。 (2) ヒト神経膠芽腫摘出材料20例に対して、壊死周辺細胞におけるFas、Fas-L、Casp-1、2、3のmRNAの発現をin situ hybridizationで同定した。さらに、抗体を使用し免疫組織化学的に発現細胞を同定した。その結果、壊死巣周辺のみの腫瘍細胞に有意に発現していたものはFasとCasp-3であった。このことから、壊死巣周辺では何らかの刺激に対してFasとCasp-3の過剰発現さらに活性化が生じアポトーシスが誘発されることが示唆された。
|
-
[Publications] Park C,Tachibana O,Yamashita J,et al: "Expression of Fas antigen in the normal mouse brain" Biochem Biophys Res Comm. 252. 623-628 (1998)
-
[Publications] 野村素弘、山下純宏: "言語運動野グリオーマの手術" 「グリオーマの外科」柴田尚武編、 メディカ出版. 2-9 (1998)
-
[Publications] 新井政幸: "ヒト神経膠腫におけるカスパーゼ1、カスパーゼ2、カスパーゼ3の発現" 十全医会誌. 107. 87-94 (1998)
-
[Publications] 毛利正直: "グリオーマにおける多剤耐性関連蛋白の発現" 十全医会誌. 107. 33-43 (1998)
-
[Publications] Nakada M,Yamashita J,et al: "Expression and tissue localization of membrane-type 1,2,and 3 matrix metalloproteinases in human" Am J Pathol. 154. 417-428 (1999)