1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09470297
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西尾 俊嗣 九州大学, 医学部, 講師 (10180580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 仁士 九州大学, 医学部, 教授 (10038713)
森岡 隆人 九州大学, 医学部, 助手 (10260697)
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Keywords | 大脳皮質形成異常 / てんかん / ニューロトロフィン / 病理組織学 |
Research Abstract |
1. 大脳皮質形成異常について.(1)電気生理学的研究:てんかん発作を伴う限局性大脳皮質形成異常症例を検討し、術前検査、手術中の皮質電位、形成異常脳内へ電極を挿入しての記録、これらの結果、この病変自身にてんかん原性が存在することを明らかにした。(2)病理組織学的研究:neurotrophin関連物質、とくにTrkAとTrkBの免疫組織学的染色を行い、異常神経細胞の一部に陽性所見を呈するものが存在することを明らかにした。すなわち、検討したすべての症例では異常な形態を示すcytomegalic neuronが存在したが、TrkA発現はcytomegalic neuronに、TrkB発現は大きなdysplasticなそして比較的小さな神経細胞にもみられた。これは、本病変の成り立ち、さらに本病変のてんかん原性と深く関係している可能性がある。(3)実験動物での大脳皮質形成異常作製実験:妊娠16日目のラットに少量の放射線照射(50cGy)を行い、作成を試みでいるが、現在までのところ肉眼的な変化はない。また、照射線量を増やしての検討では、てんかん発作は生じていないが、神経学的な脱落症状を持つ仔ラットが出生している。これらのラット脳の組織切片で、Trk関連の免疫染色なども含め、微細な発生異常、いわゆるmicrodysgenesisの存在などの組織学的検索を行っている。 2. 神経細胞腫瘍について.手術中に得た神経細胞腫瘍に通常の組織学的検索に加えてneurotrophin関連物質を免疫組織学的に染色し検討し、中枢神経系に発生した神経細胞系腫瘍でもTrkAなどに陽性所見を呈するganglioidあるいは小型の腫瘍性の神経細胞が存在することが明らかにした。とくにTrkAは、大脳皮質形成異常でみられるcytomegalic neuronに類似した腫瘍細胞が陽性の染色性を示したが、これは中枢神経に発生する神経細胞系腫瘍と大脳皮質形成異常に共通する発生異常が存在する可能性を示すものである。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] Nisino S et al: "lmmunochemical expression of tyrosine kinase (Trk) receptor proteins in mature neuronal cell tumors of the central nervous system" Clin Neuropathol. 17. 123-130 (1998)
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[Publications] Nisino S et al: "Supratentorial primitive neuroectodermal tumours:Areport of four cases withan unusual clinical course in one patient" Acta Neurochir. 140. 207-213 (1998)
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[Publications] Nisino S et al: "Radiation-induced brain tumours:Potential late complications of radiation therapy for brain tumours" Acta Neurochir. 140. 763-770 (1998)
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[Publications] 西尾俊嗣他: "視床下部過誤腫3列の術後津誤長期follow-up" 小児の脳神経. 23. 149-154 (1998)
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[Publications] 森岡隆人: "外側側頭葉てんかんの外科治療" 臨床脳波. 40. 787-794 (1998)
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[Publications] 森岡隆人: "海馬硬化症のMRI診断:FLAIR(fluid attenuated inverson recovery)法の有用性" 脳神経外科. 26. 143-150 (1998)
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[Publications] 西尾俊嗣: "難治性てんかんを伴った大脳海綿体状血管腫の2列:外科的治療上の問題点" 臨床脳波. 40. 609-614 (1998)
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[Publications] Tashima T et al: "TDelayed cerebral radiation necrosis with a high uptake of "C-methio nine on PET and 201TI‐chrolied on SPECTstudies * 確認個所:201の所です" Neuroradiology. 40. 435-438 (1998)
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[Publications] 森岡隆人他: "同側半球の萎縮・低形成を伴った内側側頭葉てんかんの1手術例" 臨床脳波. 41. 135-139 (1999)