1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09470309
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
四宮 謙一 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (20111594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河内 敏行 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (10313248)
伊藤 聰一郎 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (10242190)
小森 博達 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (60262169)
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Keywords | 脊髄損傷 / 脊髄再生 / 線維芽細胞増殖因子 / 神経幹細胞 |
Research Abstract |
脊髄再生のメカニズムに関する分子生物学的研究(第3回経過報告) 【実験1:幼若ラット脊髄損傷モデルにおける機能回復の解析】 生後2週齢の幼若ラット胸髄を完全切断し、後肢機能の回復と軸索再生の有無を検討したところ、術後5週までに歩行可能なまでに機能が回復したものが認められた。回復したラットの皮質脊髄路(錐体路)の再生は認められなかったが、赤核脊髄路や前庭脊髄路などの軸索再生が認められ、電気生理学的検討から、これらの索路の再生が機能回復に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。この実験の成果は米国「SPINE」誌からの依頼を受け投稿した。 【実験2:脊髄損傷後の遠位断端におけるFGFの遺伝子発現】 成熟ラットの脊髄を完全に切断しても、実験1のような機能の回復は認められない。幼若・成熟ラット間では、脊髄切断後の遠位断端における神経栄養因子群の発現動態が異なるために、このような機能回復の違いが生じるものと仮説をたて、準定量的RT-PCR法を用いて神経栄養因子群の遺伝子発現を検索したところ、幼若ラットの方が線維芽細胞増殖因子(FGF)遺伝子の発現が高いことが明らかとなった。現在脊髄切断後のFGFの発現の分布を解明すべく、免疫染色・in situ hybridization の実験を進めている。 【実験3:神経幹細胞移植による脊髄再生治療の試み】 自己増殖能・多分化能を有する神経幹細胞は中枢神経損傷治療の切り札として期待されている。この幹細胞移植による脊髄再生治療を試みるべく、胎児ラットの海馬から神経幹細胞を分離・培養する系を確立した。現在移植細胞のマーキング、移植方法などを検討し、移植実験の準備を進めている。
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[Publications] 若林良明.河内敏行.持田潔.高橋誠.戚美玲.大竹一嘉.四宮謙一: "脊髄と完全切断した幼若ラットの脊髄再生と機能回復"日本整形外科学会雑誌. 73(8). S1494 (1999)
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[Publications] 戚美玲.若林良明.河内敏行.高橋誠.四宮謙一: "脊髄切断後の遠位断端におけるFGF遺伝子の発現変化"日本整形外科学会雑誌. 73(8). S1500 (1999)
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[Publications] Y. Wakabayashi, T. Kawa-uchi, K. Mochida M. Takahashi, M. Qi, K. Otake, K. Shinomiya: "Functional Recovery of Rats Whose Thoracic Spinal Cord is Transected in Infancy"Neuroscience Research. Suppl 23. S178 (1999)
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[Publications] 若林良明.持田潔.河内敏行.高橋誠.戚美玲.叶軍.四宮謙一: "脊髄と完全切断した幼若ラットの後肢運動機能の回復には錐体外路系の索路の再生が関与する"脊髄電気診断学. 21(1). 1-4 (1999)