動的歩行荷重下における人工股関節の固定性と摩耗に関する生体力学的研究

1998 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09470311
• Research Institution: Fukui Medical University
• Principal Investigator: 大森 弘則 福井医科大学, 医学部附属病院, 講師 (70242592)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 奥村 康弘 福井医科大学, 医学部, 助手 (30204150)
• Keywords: セメントレス人工股関節ステム / 動的解析 / 3次元コンピューターシミュレーション / 3次元非線形FEM解析 / relative motion / 歩行分析

Research Abstract

【目的】これまでの人工股関節の力学解析において、歩行運動を組み入れた動的な荷重条件下での解析報告は全く見当たらない。そこで、本研究では、歩行中の股関節にはたらくresultant forceを求め、これを人工股関節の3次元有限要素モデルに動的荷重条件として負荷した上で、人工股関節の摩耗と固定性についての予測解析を行う。
【方法】まずVICONによる正常人の歩行分析データを基に、SIMMAGAITやADAMSという3次元動的コンピュータシミュレーションソフトを導入し、歩行中の股関節にはたらくresultant forceの動的変化を算出し、これを過去の文献によるin vivoの計測値と比較し、本手法の妥当性を評価する。ついで、実際の人工股関節の再置換術を要する患者の歩行分析を行い、同様の解析を行って、その患者の歩行中のresultant forceを算出する。次に、その患者に設置されている人工股関節や骨の正確な3次元有限要素モデルを作成し、前述の解析で得られたresultant forceを動的荷重条件として与え、どの部位にどの程度の摩耗や弛みが生じるのかを計算し、実際の摘出した人工股関節の標本と比較し、本研究の有用性を検討する。
【結果】本手法による正常人の歩行中のresultant forceは、最大値において、体重の約2〜3倍で、方向性も過去のin vivoの計測値とほぼ一致していることが確かめられた。また、再置換前の患者の歩行中のresultant forceは、正常人と比べその方向性および大きさも異なっていることも示唆され、その摘出標本では、前上方での摩耗が多く起こっていることが判明した。
現在、人工股関節の正確な3次元有限要素モデルを作成し、この動的荷重条件を負荷し、摩耗や固定性についての計算を行っている最中であり、今後この解析計算結果と摘出標本の摩耗状態などを比較検討する予定である。

Research Products

• [Publications] 大森弘則, 井村慎一, 奥村康弘, 坊 昭彦, 安藤正郎, 橋本直樹: "人工股関節のデザイン-セメントレスTHAステムのデザイン-." 整・災外. 41(5). 699-707 (1998)
• [Publications] 大森弘則, 井村慎一, 安藤正郎: "セメントレス人工股関節の固定性-生体力学の立場から-." MB Orthop. 11(12). 1-8 (1998)
• [Publications] SHINICHI IMURA, HIRONORI OMORI, AKIHIKO BO, MASAO ANDO, and HISATOSHI BABA: "Development and Preclinical Tests of FMS and FMS-Anatomic Cementless Total Hip Stems." Joint Arthroplasty. 225-237 (1999)