1997 Fiscal Year Annual Research Report
骨肉腫発癌機構におけるBMPシグナル伝達系分子の関与
Project/Area Number |
09470315
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 孝志 京都大学, 医学研究科, 教授 (10201675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸口田 淳也 京都大学, 生体医療工学研究センター, 助教授 (40273502)
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Keywords | 骨肉腫 / TGFβ / BMP / SMAD / CBFA1 |
Research Abstract |
1.II型TGF-b受容体の変異解析 TGFのシグナル伝達における変異解析として、まずII型受容体の解析を行った。14個のエクソン中、変異のホットスポットであるexon4のpoly(A)領域及び機能的に重要であると考えられているkinase domainを含むexon7及び8に対して、50例のヒト骨肉腫を材料にPCR-SSCPにてスクリーニングを行い、direct sequencingにて塩基配列を確認した。その結果、いずれにおいても変異は検出されなかった。 2.BMPシグナルの発現解析 8種類の骨肉腫細胞系におけるBMPシグナル系の遺伝子のmRNAレベルでの発現を解析した。まずリガンドであるBMP2及び4の発現は、全く認められないものから、非常に強く発現しているものまで細胞間で著しい相違が認められた。I型及びII型受容体の発現にも差があり、リガンド発現陽性例に強い発現が認められた。更に細胞内シグナル伝達物質であるSMAD1の発現を調べると、やはりリガンド及び受容体を発現しているものに発現が認められ、autocrine機構が作用しているものと、していないものが存在することが示唆された。 3.SMAD1遺伝子の変異解析 8種類の骨肉腫細胞系において、RT-PCRにより全長cDNAをクローニングして、その塩基配列を解析したが、いずれも正常配列であり変異は検出されなかった。 4.CBFA1遺伝子の変異解析 BMPシグナルにより発現が制御されていると考えられるCBFA1遺伝子の変異を70例の骨肉腫において解析し、1例においてexon2内のGluの反復部位において9bpのdeletionが検出された。しかしこのdeletionは患者の体細胞にも存在しており、稀な多型性である可能性が考えられ、明らかな体細胞性変異と考えられるものは検出されなかった。
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[Publications] Nakayama,Tomitaka: "Establishment of osteoblast-like cell line,MMC2,from p53 deficient mice" Bone. 21. 313-319 (1997)