1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09470325
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
島田 康弘 名古屋大学, 医学部, 教授 (50028669)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 祥祐 名古屋大学, 医学部, 助手 (70238640)
石川 直久 愛知医科大学, 医学部, 教授 (80109321)
|
Keywords | 肺水腫 / 神経原性肺水腫 / 血管透過性亢進 / 神経伝達物質 / ARDS / neropeptide Y / neuropepetides / 肺循環 |
Research Abstract |
麻酔管理上の大きな問題の一つに肺内血管透過性亢進に伴うガス交換の不良がある。血管透過性亢進の機序の一つに神経を介するものがあることは、中枢性肺水腫の場合に肺水腫の水腫液中の蛋白濃度の高いことや高分子化合物の血管外への漏出が電子顕微鏡像等によって示されてきた。しかし、関与する神経伝達物質については不明な点が多い。本研究課題で行った実績を次に示す。 1)ラット脳室内へのfibrinogen,thrombinを投与することによって生じるfibrin肺水腫モデルを用いて、neuropeptideY(NPY)が肺内血管透過性を亢進させることをその肺内分布と水腫液中の存在の免疫組織学的証明と水腫液中NPYの定量により行った。その結果、NPYは気管支周辺に見られるいわゆる気管支動脈を支配する交感神経に存在し、肺水腫液中にも抗NPY抗体に反応する物質が確認され、水腫液中のNPY濃度は10-500ng/mlで存在し血液中のそれに比べて100-500倍高いことが分かった。 2)このfibrin肺水腫の発生には中枢神経系内の神経伝達機構の解明が必要であり、その目的でNO-神経の役割を調べた。これによって、肺組織におけるNPY神経との関係を調べる基盤を得ることにつながると考えた。現在、脳室内にL-arginineを前もって投与したときの肺水腫の起こり方について検討している。L-arginineの濃度に応じて抑制され、L-NAMEによって逆に増強される傾向があり、現在例数を増やして検討している。また、それぞれの場合の水腫液中のNPYの濃度についても調べている。今後、NOとNPY神経相互の関係を明確にする必要がある。 3)肺水腫発生時の血行動態変化が、気管支循環に局在するNPYの肺血管到達にいかに影響しているのかを明らかにできると考えて、右心房内圧の2段的上昇と水腫発生との関係を調べた。ウサギの胸部正中切開では壁側胸膜を破らない利点があり、無傷の動物として血行動態を調べることができる。その結果、これら2者の間に相関があることを明らかにした。
|
Research Products
(9 results)
-
[Publications] NISHIWAKI Kimitoshi: "Effects of vasodilators on fibrin-induced pulmonary edema, so-called neurogenic pulmonary edema, in rat." Journal of Anesthesia. 8. 208-212 (1994)
-
[Publications] SHIMADA Yasuhiro: "Monitoring of blood gases and pulmonary ventilation." Current Opinions in Anesthesiology. 7. 503-507 (1994)
-
[Publications] HIRABAYAHSI Akiko: "Effects of neuropeptide Y on lung vascular permeability in the pulmonary circulation of rats." European Journal of Pharmacology. 256. 227-230 (1994)
-
[Publications] 石川直久: "神経原性肺水腫における血管透過性亢進の病態生理" 日本病態生理学会雑誌. 3(2). 28- (1994)
-
[Publications] NISHIWAKI Kimitoshi: "Neuropeptide-(18-36)may prevent neurogenic pulmonary edemain rats." 11th World Congress of Anaesthesiologists, Abstract Book. 240- (1996)
-
[Publications] 西脇公俊: "肺血管透過性への神経ペプチドの影響-Neuropeptide(NPY)の促進-Calcitonin gene related peptide(CGRP)の抑制効果" 日本集中治療医学会雑誌. 3. S127- (1996)
-
[Publications] 島田康弘: "術後肺炎の対策" 日本医事新報. 3759. 24-28 (1996)
-
[Publications] YAMASHITA Akiko: "Effects of neuropeptide Y on pulmonary vascular permeability and its receptor subtype in rats." 11th World Congress of Anaesthesiologists, Abstract Book. 246- (1996)
-
[Publications] HIRABAYASHI Akiko: "Role of neuropeptide Y and its receptor subtype in the neurogenic pulmonary edema." European Journal of Pharmacology. 296. 297-305 (1996)