腹部骨盤部の自律神経損傷の再建法の開発

1999 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09470341
• Research Institution: Tokyo Medical and Dental University
• Principal Investigator: 木原 和徳 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (40161541)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 影山 幸雄 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (10211153) ; 石坂 和博 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (60168218) ; 佐藤 健次 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (20107246)
• Keywords: 自律神経 / 再建 / 性機能 / 排尿機能

Research Abstract

腹部骨盤部の自律神経の再建法の開発の研究において平成11年度は以下の結果を得た。
1)自律神経縫合による機能回復の検討:平成10年度の骨盤神経縫合の良好な結果より、イヌにおいて骨盤神経縫合を取り入れた自家膀胱移植を行った。5頭中3頭で長期生存が得られた。通常の排尿が見られ、充分な膀胱容量、少量の残尿かつ排尿反射の存在を満たす膀胱が得られた(神経支配を伴った膀胱移植は世界で初めての成功例といえる)。2)自律神経欠損部に対する他の神経の移植の検討:(1)骨盤神経遠位部の欠損に対し下腹神経および陰部大腿神経の移植を行い、いずれの移植でも骨盤神経の近位端の刺激で膀胱の収縮を認め、いずれの神経でも骨盤神経の再建は可能であるという結果を得た。(2)イヌの下腹神経を部分切除後一年経過後に、下腹神経全体を陰部大腿神経で置換したが、一年後の精管へのシグナルの再建は不良で、前立腺へのシグナルがわずかに再建された。(3)下腹神経の部分欠損部(約1cm)に陰部大腿神経もしくは結腸神経を移植する検討は現在進行中である。
3)自律神経移行術の検討:下腹神経の遠位端と骨盤神経の近位端を切断して相互に吻合し、下腹神経-骨盤神経-骨盤神経叢-膀胱および、下腹神経-骨盤神経-骨盤神経叢-精管というシグナルが新たに形成されることを確認した。3)自律神経再生の組織学的検討:下腹神経吻合部および切除部を組織学的に検討し、同部位の自律神経再生を確認した。4)神経移植の臨床応用:ヒトの後腹膜リンパ節廓清において、交感神経欠損部への陰部大腿神経移植を行い良好な結果を得た。

Research Products

• [Publications] 木原和徳: "骨盤内臓器手術後の排尿・性機能障害"泌尿器外科. 12. 449-455 (1999)
• [Publications] 木原和徳: "バイアグラ時代における勃起障害ー射精障害"臨床と研究. 76. 85-89 (1999)
• [Publications] 木原和徳: "射精障害を理解するのに必要な射精のメカニズム"臨床成人病. 29. 735-741 (1999)
• [Publications] 木原和徳: "射精を支配する交感神経経路とその再建"日本自律神経学会雑誌. 36. 358-362 (1999)
• [Publications] 木原和徳: "新図説泌尿器科学講座4 内分泌疾患・性機能障害"メジカルビュー社(東京). 365 (1999)
• [Publications] 木原和徳: "臨床泌尿器科のコツと落とし穴2 手術療法"中山書店(東京). 166 (1999)