1997 Fiscal Year Annual Research Report
尿路結石マトリックス蛋白の遺伝子発現抑制による遺伝子治療についての基礎的研究
Project/Area Number |
09470351
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
藤田 圭治 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (50264734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂倉 毅 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (00275132)
林 祐太郎 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (40238134)
佐々木 昌一 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (50225869)
郡 健二郎 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (30122047)
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Keywords | オステオポンチン / 尿路結石 / アンチセンス / NFкBデコイ / ビスホスホネート |
Research Abstract |
カルシウム(Ca)含有結石形成にオステオポンチン(OPN)やサイトカインのIL-1β、TNFαなどが関与することは報告してきた。また、OPNの発現は、細胞外からの刺激→細胞内情報伝達→転写因子→遺伝子→発現に至ると考えられるので、その各段階での抑制を試み、結石形成に対する影響を見ようと試みた。 高Ca血症ラットにビスフォスフォネート(Bis)を投与したところOPN発現が抑制された。その機序は、プロトオンコジーンc-srcの産生蛋白であり細胞内情報伝達にあずかるSrcチロシンキナーゼの活性化を阻害することでOPNの発現を抑制すると考えられる。Bisを用いて結石形成ラットと培養細胞で検討したが、結石形成、OPN発現に対して明らかな変化はなかった。 転写因子NFkBは活性化すると遺伝子の上流に位置しているkB配列と結合しIL-1β、TNFαなどの発現を調節する蛋白である。NFkB decoy(おとり型核酸医薬)はkB配列を含む20bpの2本鎖DNAで、核内で活性型NFkBが遺伝子上流のkB配列と結合するのを競合的に阻害し転写を抑制する。NFkB decoyはラット腎尿細管細胞由来のNRK-52E培養細胞にtransient transfectionでき、OPN発現を抑制できた。 テトラサイクリン濃度依存性発現調節プラスミドにマウスOPN cDNAをreverse orientationに挿入し、NRK-52E細胞にstable transfectionするこたでOPN antisenseを恒常的に発現するクローンを取り出すことができ、そのクローンではOPN発現が抑制された。 OPNの発現は複数の細胞内情報伝達系から調節されていると思われた。また、培養細胞ではNFkB decoyとOPN antisenseを遺伝子導入することでOPN発現を抑制できた。
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