1998 Fiscal Year Annual Research Report
性ステロイドと関係して女性生殖器ならびにその腫瘍の細胞増殖とその制御に関する研究
Project/Area Number |
09470356
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
玉舎 輝彦 岐阜大学, 医学部, 教授 (70079870)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 次良 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (80199372)
今井 篤志 岐阜大学, 医学部, 助教授 (40193643)
|
Keywords | エストロゲン受容体 / スプライシング・バリアント / プロゲステロン受容体A型 / プロゲステロン受容体B型 / 受容体発現異常 / GnRH受容体 / Gタンパク / 女性生殖器腫瘍 |
Research Abstract |
エストロゲン受容体においてエキソン5のスプライシング・バリアント(ER E5SV)は、エストロゲン結合領域が欠失しているため、エストロゲンが結合してはじめて働く転写活性化部位であるAF-2は有さないが、AF-1領域すなわちエストロゲンの結合と無関係に転写活性を亢進できるAF-1領域が活性化されている(dominant positive変異)。子宮内膜癌や卵巣癌の転移巣において、ER E5SVの発現比率が原発巣より低くなる症例はなく、高くなる症例が多い。また、腫瘍性病変の性格をもつ子宮内膜症においても検出される。このことは、エストロゲン依存性を部分的に喪失して進展していく病変の背景を捉えていると考えられる。 また、プロゲステロン受容体A型(PR-A)は野生型であるB型(PR-B)のN末端から164アミノ酸の欠失した変異体で、リガンド依存性にPR-Bなどの転写を抑制する。主にエストロゲン依存性に増殖する子宮筋腫の一部においてプロゲステロン依存性に増殖することがある。このような子宮筋腫では、PR-A遺伝子の発現が障害されている。また女性生殖器癌においては、原発腫瘍で25-38%の症例でPR-A遺伝子の発現が障害されて、その結果としてPR-B遺伝子が相対的に過剰発現し、特に卵巣癌では悪性度とも関連している。さらに、転移巣ではすべての症例でPR-A遺伝子の発現が障害されて、PR-B遺伝子が過剰発現している。このことから、転写を制御する因子であるPR-Aの発現障害は逸脱した増殖活性をもたらす可能性があり、女性生殖器癌の進行や転移能の獲得と関連していると考えられる。また、GnRH受容体と共役するGタンパクを同定したところ、生殖器腫瘍ではGiであることが明らかになった。下垂体のそれはGq/G11と連携しており、生殖器腫瘍のGnRH受容体と下垂体GnRH受容体は異なる情報伝達機構を介していることが示唆された。しかし、卵巣癌(10例)と子宮内膜癌(10例)にGタンパクの各サブユニットの遺伝子異常やGnRH受容体の遺伝子異常は見出されなかった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Fujimoto,J,et al.: "Expression of progesterone receptor form A and B mRNAs in gynecologic malignant tumors." Tumor Biol. 16. 254-260 (1995)
-
[Publications] Fujimoto,J.,et al.: "Expression of estrogen receptor exon 5 splicing variant ((ER E5SV) mRNA in gynecologic cancers." J Steroid Biochem Molec Biol. 60. 25-30 (1997)
-
[Publications] Fujimoto,J.,et al.: "Clinical implication of expression of progesterone receptor forn A and B mRNAs in secondary spreading of gynecological cancers." J Steroid Biochem Molec Biol. 62. 449-454 (1997)
-
[Publications] Imai,A.,et al.: "Gi protein activation of gonadotropin-releasing hormone-mediated protein dephosphorylation in human endometrial carcinoma." Am J Obstet Gynecol. 176. 371-376 (1997)
-
[Publications] Imai,A.,et al.: "Evidence for tight coupling of gonadotropin-releasing hormone receptor to stimulated Fas ligand expression in reproductive tract tumors : possible mechanism for hormonal control of apoptotic cell death" J Clin Endocrinol Metab. 83. 427-431 (1998)
-
[Publications] Fujimoto,J.,et al.: "Expression of progesterone receptor form A and B mRNAs in uterine leiomyoma." Tumor Biol. 19. 126-131 (1998)