1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09470360
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
倉智 博久 大阪大学, 医学部, 助教授 (40153366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 幸浩 大阪大学, 医学部, 助手 (30303952)
森重 健一郎 大阪大学, 医学部, 助手 (90283788)
大道 正英 大阪大学, 医学部, 助手 (10283764)
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Keywords | 細胞外マトリックス / インテグリン / プロモーター / 転写制御 / MAPキナーゼ系 / JAK-STAT系 / 増殖因子 / サイトカイン |
Research Abstract |
トロホブラスト細胞が母体の子宮内膜に浸潤することで着床が成立するが、これは妊娠に必須であるばかりでなく、トロホブラスト細胞が癌細胞にも匹敵する強い浸潤能を有し、しかもこの浸潤能が厳密に制御されていることは生物学的に興味深い現象である。このトロホブラストの浸潤能には細胞外マトリックスであるintegrinとくにα5-およびα1-integrinが重要な役割を果たしている。一方、増殖因子の1つである上皮成長因子(EGF)やサイトカインのうちleukemia inhibitory factor(LIF)やIL-6など、さらにそれらの細胞内情報伝達機構であるMAP kinasc系、JAK-STAT系が着床に重要な役割を演じていることも知られている。これらのデータから、増殖因子やサイトカインなどが、トロホブラスト細胞に存在する上記の情報伝達系を通じてα5-,α1-integrinの発現を制御する可能性が考えられる。我々は、α5-integrin遺伝子プロモーターにluciferasc遺伝子をreporterとして接続し、BeWo細胞に安定導入した。この細胞を用いて、着床を促進する作用から、α5-integrin遺伝子発現を促進すると思われるEGFや、逆にこれを抑制すると思われるTGF-βの転写調節を検討した。EGFはα5-integrin遺伝子の転写を促進したが、TGF-βには有意な作用がみられなかった。EGFの転写促進作用はdominant negative STAT3や、意外にもEGFの情報伝達系として最も一般的なMAP kinase系の抑制剤で阻害されなかった。しかしながら、EGFの作用はprotein kinaseC(PKC)系路を遮断すると消失し、EGFのα5-integrin遺伝子転写促進作用はおもにPKC系路を介したものであることが示唆された。今後は、α5-integrin遺伝子のEGF応答領域の解析を進めるとともに、種々の因子による他のintegrin遺伝子の発現制御についても検討を進めていく予定である。
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