1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09470361
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中野 仁雄 九州大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40038766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
月森 清己 九州大学, 医学部, 講師 (90253450)
佐藤 昌司 九州大学, 医学部, 講師 (00225947)
小柳 孝司 九州大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30136452)
堀本 直幹 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40243927)
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Keywords | ヒト胎児 / 日内変動 / ウルトラディアンリズム / レム睡眠 / ノンレム睡眠 / 眼球運動 / スペクトル解析 |
Research Abstract |
ヒト胎児の眼球運動にみられる眼球運動期と無眼球運動期の交代リズムは、レム睡眠・ノンレム睡眠の起源と考えられている。そこで、眼球の動きを連続的に観察し、眼球運動期・無眼球運動期を指標として、妊娠末期ヒト胎児のレム睡眠・ノンレム睡眠の出現における周期的変動、特に日内変動の存否についての検討を行った。 対象は妊娠経過に異常の認められない妊娠末期ヒト胎児である。母体からインフォームドコンセントを得た後、データ採取を行った。観察時間は、16:00から翌日の16:00まで、食事時間や休息を除く連続24時間である。母体を側臥位とし、超音波電子スキャンを用いて片側眼球像をビデオテープに記録した。1分間を単位として、眼球運動が1回以上認められる場合を眼球運動期、認められない場合を無眼球運動期と定義した。ここで、眼球運動期を1、無眼球運動期を0とし、{1,0}に2値化された24時間時系列データを作成した。周期性の解析には、最大エントロピー法によるスペクトル解析を用いた。その結果、眼球運動期・無眼球運動期の出現様式には、48〜90分、7〜12時間並びに16〜24時間周期にパワースペクトルのピークが検出された。1時間前後の周期は、すべての症例に認められたが、これより長い周期については検出されない症例も存在した。症例毎に、得られた周期からなる余弦関数を用いて最小二乗法による近似曲線を求めると、21:00〜1:00に頂点位相が認められた。 以上の成績から、長い周期が検出された症例に関しては、妊娠末期ヒト胎児のレム睡眠の出現に、21:00〜1:00を頂点位相とする日内変動が認められた。このことは、胎児のレム睡眠・ノンレム睡眠には、従来から報告されている約1時間周期のウルトラディアンリズムに加えて長い周期の変動が重畳し、日内変動を生じていることを意味する。
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