1997 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト子宮内膜細胞の増殖と分化にかかわる分子・遺伝子機構の解明
Project/Area Number |
09470366
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
神崎 秀陽 関西医科大学, 医学部, 教授 (80135566)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大崎 尚 関西医科大学, 医学部, 助手 (70257913)
梅嵜 圭吾 関西医科大学, 医学部, 助手 (30193931)
安田 勝彦 関西医科大学, 医学部, 助教授 (90174507)
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Keywords | ヒト子宮内膜 / 増殖 / 分化 / 性ステロイドホルモン / 遺伝子制御 / 妊卵着床 / サブトラクション / ディファレンシャルディスプレイ |
Research Abstract |
前回の基盤研究(B)07457386に引き続き、ヒト子宮内膜間質細胞を用いた遺伝子サブトラクションで分離された未報告のプロゲステロン誘導遺伝子(UK-10)についてその上流域の解析を進めた。これまでの約1,000bpの解析では、類似の遺伝子は見いだされずまた転写因子を示唆する明らかなモチーフも見あたらなかった。そこで、UK-10遺伝子の発現をNorthernBlotにより手術摘出の子宮内膜組織で検討したところ、増殖期内膜ではUK-10の発現は全く見られず、分泌期の内膜で特にその中期から後期で強い発現があることが判明した。さらに体外受精での着床不全例と思われる良好胚移植3回以上の妊娠不成功例でその分泌期中期内膜Biopsy標本につき検討したところ、これら内膜ではUK-10の発現が対象(任孕能が確認されている婦人)と比して非常に低い事が判明した。そのため、UK-10は内膜の分化にかかわると共に胞胚着床にも重要な役割を持つと考えられ、ひきつづいて、UK-10から推定されるペプチドを合成して家兎に免疫して得られた抗体で子宮内膜を含む各種組織を検討中である。またその抗原構造の解析を試みているが、これについては非特異的反応が強く進展が滞った状況である。また本年はプロゲステロン以外でも、エストロゲンおよびアンドロゲン誘導遺伝子の分離のための基礎的検討をおこなった。各種ホルモンで増加あるいは減少する遺伝子を同時に解析するために、PCRによるディファレンシャルディスプレイ法を導入した。最も重要なプライマーの選定については文献的に検討した20-80種の設定で、ホルモン無添加およびエストラジオール、テストステロン、プロゲステロン添加の4種の培養細胞から得られたRNAをこれらのプライマーで増幅してを同時にゲルに流して遺伝子の消退と誘導を比較検討しつつある。
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[Publications] 実積真由美: "着床期周辺の子宮内膜におけるtissue transglutaminaseの局在と変動についての研究" 産婦人科の進歩. 49. 244-246 (1997)
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[Publications] 神崎秀陽: "ヒト子宮内膜機能の局所調節" 日本産婦人科学会雑誌. 49. 599-603 (1997)
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[Publications] 神崎秀陽: "プロゲステロンによる子宮内膜分化のメカニズム-サブトラクション法による誘導遺伝子の解析" 産科と婦人科. 64. 1405-1411 (1997)
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[Publications] 神谷敬雄: "不妊-着床障害" 産婦人科の実際. 46. 1345-1349 (1997)
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[Publications] Watanabe,H.: "Bcl-2 and Fas expression in eutopic and ectopic human endometrium during the menstrual cycle in relation to endometrial cell apoptosis." American Journal of Obstetrics and Gynecology. 176. 360-368 (1997)