1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09470370
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内藤 泰 京都大学, 医学研究科, 講師 (70217628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤木 暢也 京都大学, 医学研究科, 助手 (20271009)
長峯 隆 京都大学, 医学研究科, 助手 (10231490)
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Keywords | 聴覚言語 / カテゴリー認知 / ポジトロン断層法 / 難聴 / 人工内耳 |
Research Abstract |
聴覚言語の認知では音響学的に連続する語音がカテゴリー化されて不連続に認知されるという特徴があり、この機構の詳細を明らかにするのが本研究の目的である。本年度は、末梢の聴神経における語音符号化の違いが中枢、特番に聴覚連合野の活動にどの様な影響を与えるかを人工内耳使用者において調べた。その結果、語音の電気刺激による符号化の様式が、入力音の音響スペクトルパターンに類似するほど聴覚連合野の賦活が高くなる事がポジトロン断層法による研究で明らかになった。これらの被検者の語音認知率と左半球聴覚連合野の音声による賦活の程度の間に有意の正の相関が確認され、語音認知効率の向上が側頭葉における、より多くの神経活動によってもたらされることが示唆された。また、聴力正常者では一側の内耳から入力された音は、反対側の側頭葉で優位に処理されるが、一側の高度難聴者においてはこの対側優位性が徐々に消失し、聴覚野の活動の左右差がなくなる事が脳磁図を用いた研究で明らかになった。一方、言語を習得する前に聴力をなくして人工内耳を使用する様になった小児において、日常生活で聴覚言語を常用する例では側頭葉に語音認知機構が発達するが、あまり聴覚を活用しない例では、読唇という言語の視覚的側面を処理する機構が側頭葉に発達する事が確認された。これらは、側頭葉の語音認知機構の発達と可塑性に関する全く新しい知見である。次年度はこれら中枢の語音認知機構の詳細をカテゴリー認知の観点からさらに分析的に研究する予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 内藤 泰: "耳鼻科領域における機能画像検査" 耳鼻臨床. 91. 322-323 (1998)
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[Publications] 内藤 泰: "皮質聴覚受容の生理学的検査" 最新医学. 53. 1677-1682 (1998)
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[Publications] Fujiki N: "Influence of speech-coding strategy on cortical activity in cochlear implant users." Acta Otolaryngol(Stockh). 118. 797-802 (1998)
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[Publications] Fujiki N: "Influence of unilateral deafness on auditory evoked magnetic field." Neuro Report. 9. 3129-3133 (1998)
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[Publications] Kojima H: "Left hemispleric dominance and the role of verbal motor-related region in language cognition" Clinical Positron Imaging. 1. 223-228 (1998)
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[Publications] 内藤 泰: "小児人工内耳の適応とリハビリテーション" Otol Jpn. (印刷中). (1999)
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[Publications] Naito Y(分担): "Cochlear Implants" Thieme(Cohen N.Waltzman S 編)(印刷中), (1998)
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[Publications] 内藤 泰(分担): "人工内耳(改訂第2版)" 中山書店, (1999)