1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09470376
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田川 義継 北海道大学, 医学部, 助教授 (40109426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小笠原 一誠 北海道大学, 免疫科学研究所, 助教授 (20169163)
西平 順 北海道大学, 医学部, 助教授 (30189302)
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Keywords | マクロファージ遊走阻止因子 / 胎生期眼球 / 実験的自己免疫性ぶとう膜炎 |
Research Abstract |
本研究では、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)の眼組織における発現とその意義をあきらかにすることを目的に、実験1、胎生期および正常眼組織におけるMIFの発現および実験2、実験的自己免疫性ぶどう膜炎(EAU)におけるMIFの役割を検討した。実験1では、昨年度に引き続き実験動物にラットを用い胎生期および生後早期の眼球についてMIFの発現を検討した。その結果、MIFmRNAの発現は胎生13日に最大値をとり、MIFの発現は胎生期には水晶体上皮や網膜色素上皮に多く、出生後には神経網膜での発現が増加していた。また、正常眼球では、角膜上皮、内皮、水晶体上皮、虹彩毛様体上皮および網膜では網膜色素上皮とグリア細胞にMIFの発現がみられた。以上の結果は、MIFが眼球の細胞分化の過程で増加し、分化の終了と共に恒常的な発現量となることを示しており、このことからMIFは眼球の分化に重要な役割を果たしていると考えられた。実験2では、ルイスラットをIRBP(R16)で免疫し、EAUを発症させ、経時的に前房水および脳脊髄液を採取しMIFの推移を検討した。また、網膜におけるMlFmRNAの発現量も検討した。その結果、前房水および脳脊髄液で、免疫10日後からMIF濃度が上昇し、13日目に最高値(442ng/mlおよび203ng/ml)を示した。血清の濃度は、免疫3日後に最高値(189ng/ml)を示した。網膜におけるMIFmRNAの発現量には変化なかった。以上より、前房水および脳脊髄液のMIFの上昇は、眼局所での産生によると考えられ、MIFがEAUの発症および炎症病態に深く関与していると推測された。
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