1997 Fiscal Year Annual Research Report
胆道閉鎖症の病因論に関わる肝内胆管のアポトーシス調節因子の研究
Project/Area Number |
09470387
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大井 龍司 東北大学, 医学部, 教授 (50004734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仁尾 正記 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (70228138)
笹野 公伸 東北大学, 医学部, 助手 (50187142)
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Keywords | 胆道閉鎖症 / アポトーシス / 細胞回転 |
Research Abstract |
【方法、材料】 胆道閉鎖症患児の肝門部空腸吻合術時における肝生検組織(n=34,M:F=1:1.44,12-293days,mean 64.6±44.4days old)において、肝内胆管上皮細胞の増殖の検出をK167免疫染色で、apoptosisの検出をTdT-mediated dUTP biotin nick end labeling(TUNEL)法用いて検討した。controlには肝疾患を除外しage matchingさせた剖検例(n=5,M:F=1:1.5,0-150days,mean 33.6±65.2days old)の肝組織(normal control liver)と、先天性胆道拡張症(CDB)の肝生検組織(n=5,M:F=1:1.5,60-270days,mean 108.0±91.4days old)を用いた。 【結果】BAの胆管上皮細胞のTUNEL labeling index(LI)は48.9±13.2%とcontrol群(NCL 3.6±2.8%,CDB 2.5±5.1%)と比較してapoptosisを示す細胞数が有意に高かった(p<0.0001)。BAの胆管上皮細胞のKi67 LI も15.0±5.57%とCDB(8.6±5.4)より高い結果が得られた(p<0.05)。肝細胞においてはTUNEL LI,Ki67 LI ともにBAとcontrol群と有意差は認められなかった。 【考察】BAの胆管上皮細胞においてcell turnoverの点からremodeling異常が示唆されたことにより、肝内胆管の発生過程におけるapoptosisの制御機構の異常により生じたductal plate malformationの形成がBAの病因として充分に考え得るものと思われる。今後はapoptosis関連蛋白の染色を進めapoptosis発現の機序解明に努めたい。
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