1998 Fiscal Year Annual Research Report
味覚の識別性ならびに嗜好性情報処理と味覚行動発現の脳機構
Project/Area Number |
09470401
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 隆 大阪大学, 人間科学部, 教授 (60028793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八十島 安伸 大阪大学, 人間科学部, 助手 (00273566)
硲 哲崇 大阪大学, 人間科学部, 助手 (90243154)
志村 剛 大阪大学, 人間科学部, 講師 (80150332)
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Keywords | 味覚 / 学習 / 脳機構 / 神経科学 |
Research Abstract |
本年度は以下の4つの観点からの実験を行った。 1. 行動学的実験:味覚嫌悪学習(CTA)獲得に細胞性癌遺伝子の1つであるc-fosの発現が関与するか否かを検討するため、c-fos mRNAの働きを阻害するanti-sense oligonucleotidcをラットの結合腕傍核、扁桃体、大脳皮質味覚野のそれぞれに注入すると、いずれの場合もOA獲得が阻害されることがわかった。このことは、c-fos発現がCTA獲得に重要であることを示唆している。 2. 免疫組織化学的実験:ラットが蔗糖、キニーネ、水を摂取したとき、また、蔗糖にCTAを獲得させたあとで蔗糖を与えたときのc-forとzif-268の発現を調べた。CTA獲得により嫌悪刺激となった蔗糖の刺激に対して、他の刺激とは異なった部位での遺伝子発現が認められた。現在、オリーブ核の背側に注目して定量的な解析を進めている。 3. 行動薬理学的実験:ベンゾジアゼピン誘導体のミダゾラムや麻薬(モルヒネ)の腹腔内投与でラットの蔗糖摂取量は選択的に増大するが、腹側被蓋野を破壊することの効果が消失することをすでに明らかにした。今回、腹側被蓋野にコリナージックな線維を送る橋脚間被蓋核の破壊によっても同様の効果が生じることが明らかとなった。 4.脳磁図によるヒト大脳皮質味覚野の応答性:蔗糖、クエン酸を味刺激とした場合、ヒト大脳皮質第一次味覚野から両側性に早い潜時の応答が記録された。クエン酸の方が蔗糖より短い潜時の応答をひきおこした。一方、第二次味覚野からは、蔗糖が右側優位性に、クエン酸は左側優位性に応答が認められた。第一次味覚野は味の質の情報処理に、第二次味覚野は味のおいしさ、まずさの評価に関与することが示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Y.Yasoshima and T.Yamamoto: "Short-term and long-term excitability changes of the〜." Neuroscience. 284. 1-5 (1998)
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[Publications] N.Sakai and T.Yamamoto: "Role of the medial and lateral parabrachial nucleus〜." Behavioural Brain Research. 93. 63-70 (1998)
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[Publications] S.Ugawa, Y.Minami, T.Yamamoto et al.: "Receptors that leaves a sour taste in the mouth." Nature. 395. 555-556 (1998)
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[Publications] T.Yamamoto, T.Nagai, T.Shimura and Y.Yasoshima: "Roles of chemical mediators in the taste system." Japanese Journal of Pharmacology. 76. 325-348 (1998)
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[Publications] N.Sako and T.Yamamoto: "Electrophysiological and behavioral studies on taste〜." American Journal of Physiology. 276. R388-R396 (1999)