1999 Fiscal Year Annual Research Report
味覚の識別性ならびに嗜好性情報処理と味覚行動発現の脳機構
Project/Area Number |
09470401
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 隆 大阪大学, 人間科学部, 教授 (60028793)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八十島 安伸 大阪大学, 人間科学部, 助手 (00273566)
硲 哲崇 大阪大学, 人間科学部, 助手 (90243154)
志村 剛 大阪大学, 人間科学部, 講師 (80150332)
|
Keywords | 味覚 / 学習 / 脳機構 / 神経科学 |
Research Abstract |
本年度は以下の4つの実験的アプローチにより研究を進めた。 1.行動学的実験:味覚嫌悪学習(CTA)の獲得過程にはいくつかの要因かからんでいる可能性がある。ある溶液を飲むと体調が悪くなるという恐怖学習とその溶液の味の質と体調悪化を連合する味覚学習の2つを区分するため、条件づけをホームケージで行った場合とテストケージで行った場合を比較した。その結果、前者では味覚学習のみが生じ、後者は恐怖学習も伴うことがわかった。 2.免疫組織化学的実験:ラットが庶糖、キニーネ、水を摂取したとき、また、庶糖にCTAを獲得させたあとで蔗糖を与えたときのc-fosとzif-268の発現を調べた。CTA獲得により嫌悪刺激となった蔗糖の刺激に対して、他の刺激とは異なった部位での遺伝子発現が認められた。すなわち、乳頭上核、視床室傍核ではCTA獲得後遺伝子発現が増大した。これらの部位は、恐怖学習に関与する可能性が示唆されているが、今後さらにその発現の意義を考えてみたい。 3.行動薬理学的実験:ベンゾジアゼピン誘導体のミタゾラムや麻薬(モルヒネ)の腹腔内投与でラットの蔗糖摂取量は選択的に増大するが、腹側被害野を破壊することの効果が消失する。また、脚橋被害核を中心とする主要な神経連絡部位のひとつである腹側淡蒼球や、大脳辺縁系のひとつである分界条床核は、味溶液摂取行動に影響を及ぼさないことが示唆された。 4.脳磁図計測:食物および非食物の静止画像を用いた視覚刺激に対して誘発される脳磁界応答を計測、解析した。刺激後、300ms以降で、食物刺激に対して、島皮質付近または弁蓋部付近に活動が見られる被験者が認められた。これらの活動は味覚応答である可能性がある。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] N.Sako and T.Yamamoto: "Electrophysiological and behavioral studies〜"American Journal of Physiology. 276・2. R388-R396 (1999)
-
[Publications] N.Sako and T.Yamamoto: "Analyses of taste nerve response with〜"Neuroscience Letters. 261・2. 109-112 (1999)
-
[Publications] N.Sakai and T.Yamamoto: "Possible routes of visceral information〜"Neuroscience Research. 35・1. 53-61 (1999)
-
[Publications] 永井元、山本隆 他: "脳磁場計測によるヒト味覚間連中枢応答性〜"日本味と匂学会誌. 5・3. 371-374 (1998)
-
[Publications] 永井元、山本隆 他: "食物関連視覚刺激のヒト中枢情報処理機構〜"日本味と匂学会誌. 6・3. 633-636 (1999)