1997 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト細胞の老化機構の解析-特に寿命関連遺伝子の多段階変異について-
Project/Area Number |
09470406
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
筒井 健機 日本歯科大学, 歯学部, 教授 (00097065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 友起子 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (20281438)
関口 みずき 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (10281437)
長谷川 紅子 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (70053014)
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Keywords | 老化 / 老化遺伝子 / 不死化 |
Research Abstract |
老化関連遺伝子を不活性化すると,細胞に寿命の延長や不死化が誘導されるかどうかを調べた。ヒト胎児由来線維芽細胞(WHE-7細胞)にヒトパピローマウィルス(HPV)16型のE6,E7,E6/E7遺伝子を単独あるいは併用導入して,老化関連遺伝子のp53とRb遺伝子機能をノックアウトした。遺伝子導入後クロー二ングを行い,得られたクローンの分裂寿命を調べた。その結果, 1)HPVがん遺伝子を含まないベクターのみを導入したWHE-7 neo細胞では,得られた4クローンすべてが33-43PDで寿命を迎えた。なお,対照群のWHE-7細胞は70PDで寿命となった。 2)E6遺伝子を導入したWHE-7 E6細胞では,得られた7クローン中4クローンは55-63PDで寿命を迎えたが,残りの3クローンは70PDを超え,寿命の延長が認められたもののそのうち2クローンは,最終的には72PDと78PDで寿命を迎えた。残りの1クローンは100PDを超えた現在も増殖中である。 3)E7遺伝子を導入したWHE-7 E7細胞では,得られた4クローンすべてが150PDを超え,不死化した。これらのクローンは現在も増殖中である。 4)E6とE7の両遺伝子を導入したWHE-7 E6/E7細胞では,得られた5クローン中2クローンに寿命の延長が認められたものの最終的には106PDと123PDで寿命を迎えた。しかし,残りの3クローンはいずれも220PDを超え,不死化した。 5)導入したがん遺伝子が細胞DNAに組み込まれているかどうかをPCR法で調べたところ,WHE-7 E6細胞の7クローン中3クローンで,E6遺伝子が検出されなかったが,他のすべてのクローンで導入遺伝子の存在が認められた。 6)E6,E7遺伝子の導入によって寿命の延長した細胞や不死化した細胞では,G_2/M監視機構は正常であったが,G_0/G_1監視機構の崩壊が認められた。 7)ウエスタンブロッティング法によるRbタンパクの検出により,E7遺伝子を導入したWHE-7 E7細胞や,E6/E7遺伝子を導入したWHE-7 E6/E7細胞ではRbタンパクの高リン酸化が認められた。
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[Publications] Tsutsui,T.: "17 β -Estradiol,diethylstilbestrol,tamoxifen,toremifene and ICI 164,384 induce morphological transformation and aneuploidy in cultured Syrian hamster・ ・ ・" Int.J.Cancer. 70. 193 (1997)
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[Publications] Tsutsui,T.: "Extended lifespan and immortalization of human fibroblasts induced by X-ray irradiation" Mol.Carcinogenesis. 18(1). 7-18 (1997)
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[Publications] Tsutsui,T.: "Benzene-,catechol-,hydroquinone- and phenol-induced cell transformation,gene mutations,chromosome aberrations,aneuploidy,・ ・ ・ ・" Mutation Res.373(1). 113-123 (1997)
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[Publications] 筒井健機: "生体の防御機構の多様性" 歯界展望. 89(4). 878-888 (1997)
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[Publications] Tsutsui,T.: "Neoplastic transformation of cultured mammalian cells by estrogens and estrogenlike chemicals" Envion.Health Perspect.105. 619-624 (1997)
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[Publications] 井川淳一: "ヒト歯肉上皮およびヒト歯肉由来培養ケラチノサイトの細胞死における核の形態学的変化" 日口外誌. 43(5). 383-393 (1997)
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[Publications] 筒井健機: "歯科薬理学" 医歯薬出版, 541 (1997)
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[Publications] 筒井健機: "歯科医学・歯科保健医療各論" デンタルフォーラム, 773 (1997)