1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト細胞の老化機構の解析-特に寿命関連遺伝子の多段階変異について-
Project/Area Number |
09470406
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
筒井 健機 日本歯科大学, 歯学部, 教授 (00097065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 友起子 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (20281438)
長谷川 紅子 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (70053014)
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Keywords | 老化 / 不死化 / 老化遺伝子 / ヒト細胞 |
Research Abstract |
ヒト不死化細胞5株のテロメア長とゲノム不安定性を調べた。いずれの細胞株ともテロメラーゼ活性は陰性であった。各細胞株から得られた各5クローンとも、全てテロメラーゼ活性は陰性であった。テロメラーゼの構成遺伝子であるhTEP1とhTERCはすべての細胞株で発現していたが、hTERTはすべて陰性であった。5細胞株のテロメア長は各細胞株でそれぞれ異なっていた。テロメア長は各細胞株から得られた各5クローン、各クローンから得られた各5サブクローンのいずれにおいても異なっていた。各細胞株、そのクローン、その再クローンのいずれにも高頻度に染色体異常が認められ、切断やdouble minute染色体、二動原体染色体がその主な異常であった。テロメア長や染色体異常解析を行ったクローンや再クローンのクローニング後の細胞集団倍加数は22から24であった。これらの結果は、以下のことを示している。テロメア長の変動性や染色体不安定性は解析したテロメラーゼ活性陰性不死化細胞にとっては本質的な特徴であり、かつこれらの現象は短期間に起こる。また、DNAフィンガープリント解析を行ったところ、すべての不死化細胞株にミニサテライト不安定性が観察された。しかし、マイクロサテライト不安定性は検出できなかった。ヒト腫瘍由来細胞株やHT1080およびHeLa細胞で、p53機能が欠落している細胞株では、染色体不安定性やミニサテライト不安定性はみられなかった。これらのことから、テロメラーゼ活性陰性細胞株にみられたゲノム不安定性は、p53機能の喪失に依るのではない可能性がある。本研究で用いた細胞株は、テロメラーゼ陰性細胞株のテロメア長の維持とゲノム不安定性との関連、特に遺伝子増殖とゲノム再構築との関連を研究する上で有用であろう。
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[Publications] 筒井 健機: "今、遺伝子はここまでわかってきた-予知遺伝子検査による病気の予測"日歯医師会誌. 51・10. 1007-1014 (1999)
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[Publications] Tsuchiya, T.: "An interlaboratory validation study of the improve transformation assay employing Balb/c 3T3 cells: Results of a collaborative study on the two-stage cell transformation assay by the non-genotoxic carcinogen study group."ATLA. 27. 685-702 (1999)
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[Publications] Omori, N.: "Quantitative comparison cytocidal effects of tetracyclines and fluoroquinolones on human periodontal ligament fibroblasts."J. Periodont. Res.. 34. 290-295 (1999)
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[Publications] Tsutsui, T.: "Involvement of genotoxic effects in the initiation of estrogen-induced cellular transformation: studies using Syrian hamster embryo cells treated with 17 β-estradiol and eight of its metabolites."Int. J. Cancer. (in press). (2000)
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[Publications] Tsutsui, T.: "Mammalian cell transformation and aneuploidy induced by five bisphenols."Int. J. Cancer. (in press). (2000)
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[Publications] Tsutsui, T.: "Induction of mammalian cell transformation and genotoxicity by 2-methoxyestradiol, an endogenous metabolite of estrogen."Caricinogenesis. (in press). (2000)
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[Publications] 中原 泉: "新常用歯科辞典"医歯薬出版. 1410 (1999)
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[Publications] 筒井 健機: "新歯科薬理学入門"一世出版. 185 (1999)