1997 Fiscal Year Annual Research Report
デンタルプラークにおけるバイオフィルム形成機構の解析とその抑制法の検討
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09470422
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
恵比須 繁之 大阪大学, 歯学部, 教授 (50116000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野杁 由一郎 大阪大学, 歯学部, 助手 (50218286)
木ノ本 善史 大阪大学, 歯学部, 助手 (10252694)
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Keywords | デンタルプラーク / バイオフィルム / バイオフィルム形成細菌 / 走査免疫電顕法 / グリコカリックス |
Research Abstract |
重度成人性歯周炎に罹患し抜去された歯を対象として,Porphyromonas gingivalis,Prevotella intermedia,Toreponema denticola,Campylobacter rectus,Fusobacterium nucleatum,Eikenella corrodens,Actinobacillus actinomycetemcomitans,Actinomyces viscosus,Streptococcus mutans,Eubacterium alactolyticum,Eubacterium nodatum, およびPeptostreptococcus microsに対する特異抗体を用いた走査免疫電顕法により,歯肉縁上および縁下プラークにおけるバイオフィルム形成細菌を検索した。まず,2次電子にて形態的な検索を行ったところ,歯肉縁上プラークではグリコカリックス様の粘液状あるいは網状構造物に被覆された球菌や糸状菌を主体とするコロニーが観察され,縁下プラークでは網状構造物に被覆された桿菌を主体としたバイオフィルム様コロニーが観察された。歯周ポケット底部に位置するプラークフリーゾーンでは,網状のグリコカリックス様構造物に被覆された5μm前後の長桿菌がその構造物を介して歯面に付着していたり、バイオフィルム様構造物により異種細菌が凝集し小さなコロニーを形成していた。次に,反射電子像による観察を行った結果,歯肉縁上プラークでは,A.viscosus,E. alactolyticumおよびS. mutansがグリコカリックス様構造物の近傍から検出され,プラークフリーゾーンではP. gingivalisおよびT.denticolaが粘液状構造物と共に検出され,バイオフィルム形成に関わっている可能性が示唆された。しかしながら,2次電子像観察でみられた網状構造物に被覆された長棹菌は,供試した12菌種に対する抗体とは反応しなかった。現在,この細菌種の同定を試みるとともに,バイオフィルム形成との関連性が示唆された細菌種の免疫透過電顕法による超微構造的な解析を行っている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 野杁由一郎ら: "抗生物質の局所投与が歯肉縁下プラークにおよぼす影響の微細形態学的検索" 日本歯周病学会会誌. 39・秋季特別号. 164-164 (1997)
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[Publications] 恵比須繁之ら: "現代臨床におけるプラーク・コントロールの考え方(I)細菌バイオフィルムとしてのデンタル・プラーク" ザ・クインテッセンス. 16・11. 2629-2640 (1997)
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[Publications] 恵比須繁之ら: "現代臨床におけるプラーク・コントロールの考え方(II)機械的および化学的プラーク・コントロール法の意義と効用" ザ・クインテッセンス. 16・12. 2740-2746 (1997)
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[Publications] 阿座上弘行ら: "歯周病原性細菌は口腔内にどのように定着するか" 化学と生物. 35・12. 848-853 (1997)