1997 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロカプセル化技術によるフッ素徐放性とその制御機能のレジン材料への導入
Project/Area Number |
09470424
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鳥井 康弘 岡山大学, 歯学部, 助教授 (10188831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
糸田 俊之 岡山大学, 歯学部, 助手 (60294419)
鈴木 一臣 岡山大学, 歯学部, 教授 (30050058)
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Keywords | マイクロカプセル / フッ素徐放性 / 徐放制御 / コンポジットレジン |
Research Abstract |
フッ素徐放性とその制御機能をレジン材料に導入するにあたり,本年度は,フッ素徐放源となるフッ化物のマイクロカプセル化技術の検討を主に行った.芯物質としてはフッ化カルシウム,懸濁安定剤としてゼラチンを,コート剤としてMMAとTEGDMAを選択した.確立したマイクロカプセルの作製方法は以下のとおりである.フッ化カルシウムとゼラチンを加えた水溶液を耐熱性ガラスリアクター内で窒素ガス気流下毎分1000回転で撹拌しながら,70℃まで加熱し,その後MMAとTEGDMAに過酸化ベンゾイル(重合禁止剤)を加えたモノマーを滴下した.70℃で1時間撹拌し100℃,30分間加熱でマイクロカプセルを最終重合させた.得られた溶液にはマイクロカプセルとゼラチンが浮遊しているため,カプセルのみを取り出す必要がある.そこで,100℃,30分間でゼラチンを加熱分解させ,溶液を静置し,カプセルを沈殿させてから上清を除去した.さらに濾過しカプセルを取り出し,50℃で乾燥させた.マイクロカプセルの粒度はレジン材料に混合することを考え,直径10μm以下となるように篩いを用いて調整した.フッ化カルシウムのマイクロカプセル化は,形態の走査型電子顕微鏡観察,さらにカプセル縦断面のエネルギー分散型X線元素分析で内部にフッ化カルシウムが存在していることにより確認した.マイクロカプセルからのフッ素徐放性については,カプセルを脱イオン水中に浮遊させ,イオン電極法により溶解せずフッ素が徐放されることを確認した.また,徐放されるフッ素による歯質強化は,マイクロカプセルを市販低粘度レジンに配合して,抜去歯を用いて窩壁歯質の耐酸性強化作用を顕微X線法によって確認した.今後は,カプセル化物質と芯物質であるフッ化物の種類を変えてフッ素の徐放特性を調べ,フッ素の徐放制御可能なマイクロカプセル化技術を検討する予定である.
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