1997 Fiscal Year Annual Research Report
アパタイト結晶化ガラスを用いたポリアルケノエ-トセメントの試作
Project/Area Number |
09470439
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松家 茂樹 九州大学, 歯学部, 助教授 (00108755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 道雄 九州大学, 歯学部, 教授 (30037824)
松家 洋子 九州大学, 歯学部, 助手 (50128097)
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Keywords | 生体活性 / アパタイト / グラスアイオノマーセメント / NMR / シリケートガラス / 硬化機構 / IR / 高分子酸 |
Research Abstract |
CaO-P_2O_5-SiO_2(-MgO)系ガラスはin vivoおよびin vitroにおいてガラス表面にアパタイト相を形成することにより優れた生体活性を示すことが知られている。我々は、生体活性ガラスを用いたグラスアイオノマーセメントを試作しその硬化過程を調べた。CaO,P_2O_5,SiO_2およびMgOを含む種々の組成のガラス粉末を作製し、50%ポリアクリル酸水溶液(分子量5000、P/L=1)で練和した。セメント硬化対の圧縮強さを37°C、相対湿度100%で1日保管後に測定した。硬化反応の進行具合をFT-IRおよびMAS-NMRにより調べた。セメントの圧縮強さはガラス組成に依存し、最大強度として33.3±4.7MPaが、MgO:4.6,CaO:44.9,SiO_2:34.2,P_2O_5:16.3%組成のガラスで作られた。FT-IRによれば、反応後には、ポリアクリル酸中のCOOH基が減少しカルボキシレート基COO-Ca^<2+>が増加していることがわかった。ガラス粉末の^<29>SiMAS-NMRスペクトルでは、-80ppm付近にブロードなピークが観察されたが、硬化後にはシリカゲルの生成を示す新たなピークが-100および-110ppmに観察された。以上の結果は、ポリアクリル酸の作用によってガラスからCa^<2+>が溶出してカルボキシレートを生成し、シリケートネットワークの重合度が増したことを示していた。本セメントの硬化機構は本質的に歯科用グラスアイオノマーセメントのそれと同様であることが結論された。
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