1997 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌の発生・増殖・進展に関する研究-特に細胞周期関連因子における異常の検索-
Project/Area Number |
09470456
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石川 武憲 広島大学, 歯学部, 教授 (10049380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻野 哲弘 広島大学, 歯学部, 助手 (00243585)
原田 直 広島大学, 歯学部, 助手 (50238185)
杉山 勝 広島大学, 歯学部, 助教授 (70187681)
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Keywords | 口腔癌 / 細胞周期関連因子 / p21 / p53 / CDK2 / Cyclin E / p16 / Rb |
Research Abstract |
本年度は、次の2群の実験に焦点を置いて検討した。 1)口腔癌におけるp21の発現を検討し、増殖能とp53の異常との相関を解析し、口腔癌細胞株では、p21蛋白の発現とp53蛋白の異常蓄積との間に逆相関の認められた例は50%を占めた。またCDK2とCyclin E蛋白は全細胞株で強い発現がみられた。口腔癌組織で、p21蛋白が過剰発現したものは約50%であり、約半数の症例でp21蛋白の発現とp53蛋白の異常蓄積との間に逆相関が認められた。以上の結果、p21は腫瘍では増殖や進展と明瞭な関係はなく、他の細胞周期関連因子との関わりが示唆され、また、p53非依存性にp21の発現を制御する系の存在も推定された。 そこで、細胞外基質接着蛋白またはサイトカインとして知られるOsteopontinの発現を検討し、口腔癌での発現は悪性形質の獲得と、CD44との結合により遠隔転移にも関与する可能性が示唆された。 また、候補癌抑制遺伝子FHITの異常の有無を検索し、口腔癌細胞株では、異常転写産物や完全欠失が高頻度に認められ、口腔癌組織でも約50%の例でLOHが認められた。 2)p16とRb蛋白の発現と癌化の関係を解明すべく、口腔癌での発現を検討した。p16蛋白が発現しなかった全培養細胞株では、Cyclin Dとリン酸化されたRb蛋白が強い発現を示したが、p16蛋白が発現した培養細胞株では、Cyclin DとRb蛋白の発現はみられず、逆相関を示し、口腔癌組織でも、同様の結果を得た。以上の結果、p16の発現はRbにより制御されるとともに、p16の欠失、Cyclin Dの過剰発現およびRbのリン酸化などが、同一機構で口腔癌の発生に関与することを示唆した。
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Research Products
(1 results)