1997 Fiscal Year Annual Research Report
外科的矯正治療後における筋・呼吸機能の変化および適応に関する臨床生理学的研究
Project/Area Number |
09470467
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
加藤 嘉之 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (30224554)
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Keywords | 外科的矯正治療 / 舌 / 上部気道 / 単一運動単位 / 呼吸 / オトガイ舌筋 / 睡眠呼吸障害 / Cervical Headgear |
Research Abstract |
当該研究課題遂行の端緒として様々な方向からのアプローチを基礎実験として行い後述の知見を得た。 A)外科的矯正治療後に生じると想定される気道の狭窄に関連して、舌前突筋であるオトガイ舌筋単一運動単位の機能的意義に関して検索した。その結果、ヒトオトガイ舌筋には呼吸運動と周期を同一にする少なくとも2種類の単一運動単位が存在し、安静呼吸時の発火パタンから吸息相・呼吸相のいずれにも発火する吸息/呼吸ユニットと、吸息相にのみ発火する吸息ユニットに分類された。これらの運動単位は頭位の変化に伴い発火頻度を変調した。すなわち両者ともに頭部の後屈に伴い増加し、前屈に伴い減少した。発射間隔とその標準偏差に関して統計学的に有意差が示されたことからこれら2種類の単一運動単位が機能的に異なることが示唆された。 B)外科的矯正治療患者の手術前後における舌・舌骨を含めた上部気道の形態・位置変化に関連して、頭位を一定に規定し呼吸相直後に側面頭部X線規格写真を撮影した。撮影時期は、下顎後退術直前、術後3ヵ月・6ヵ月・1年の時点とした。この解析から舌・舌骨を含めた上気道部の形態には経時的な適応性の変化が生じ、この変化には性差があることが示唆された。 C)睡眠呼吸障害の評価に使用する簡易ポリグラフ(マイクロスリ-プ)を改良し、睡眠中の体位、いびき、胸郭運動、鼻口気流、動脈血酸素分圧、脈搏数および任意の2筋の筋活動を同時記録可能にした。この装置を用い顎変形症患者の外科的矯正治療前後の筋・呼吸機能の変化について舌骨上下筋・咬筋筋活動を中心にデータ収集中である。 D)Cervical Headgear装着により頭頚部諸筋の筋活動が変化した。さらに、頭部の前屈が生じ、舌・舌骨を含めた上部気道の形態・位置にも変化が生じることが示された。この実験系を外科的矯正治療前後の上部気道の形態・位置変化のシュミレーションへ応用することを検討中である。
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[Publications] 檜山成寿, 小野卓史, 他: "Headgear装着に伴う咀嚼筋,オトガイ舌筋および胸鎖乳突筋筋活動の変化様相" 日矯歯誌. 56. 75-82 (1997)
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[Publications] 加藤嘉之, 本橋信義, 他: "顎変形症患者における顎関節症の統計的観察" 日顎変形誌. 7. 40-48 (1997)
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[Publications] 檜山成寿, 小野卓史, 他: "Headgear装着に伴う頭位の変化" 日矯歯誌. 56. 281-288 (1997)
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[Publications] 小野卓史, 横関雅彦, 他: "口蓋扁桃切除術を行った骨格性下顎前突症例-上部気道の形態・位置変化に着目して-" 東矯歯誌. 7. 44-48 (1997)
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[Publications] Ishiwata Y, Hiyama S, et al.: "Human jaw-tongue reflex as revealed by intraoral surface recording" J.Oral Rehab.24. 857-862 (1997)
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[Publications] Tsuiki S, Ono T, et al.: "Modulation of respiratory-related genioglossus motor unit activity associated with changes in head position in humans" Jpn.J.Oral Biol.40. 53-61 (1998)