1997 Fiscal Year Annual Research Report
不斉単座ホスフィン配位子の分子設計と不斉合成法への応用
Project/Area Number |
09470480
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
濱田 康正 千葉大学, 薬学部, 教授 (90117846)
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Keywords | 1,3-ジアクシャル相互作用 / 不斉単座ホスフィン / 配位子 / 不斉アリル化反応 |
Research Abstract |
触媒量の不斉源から無限個の光学活性化合物が合成可能な触媒的不斉合成法は現在の有機合成化学における最重要課題の一つである。我々は不斉単座ホスフィン配位子に注目し、全く新規骨格の不斉単座配位子の設計、合成を企画研究した。不斉単座ホスフィン配位子の分子設計の方針として6員環上の1,3-ジアクシャル相互作用を立体制御因子として分子に導入することを考えた.この相互作用を強固なのもとすると同時に合成し易さを考慮し,強固なアダマンタンの骨格の一部を有する(1R,2S,5R,6S)-2,6-ジメチル-9-フェニル9-ホスホビシクロ[3.3.1]ノナン((-)-9-PBN)とこれの対掌体を設計した。そして、この不斉単座ホスフィン配位子の合成に最近成功した。実際に9-PBNは市販の1,5-ジメチル-1,5-シクロオクタジエンから(-)体は4工程,(+)体は5工程で光学活性体として合成される。得られた不斉単座ホスフィン配位子の不斉配位子としての有用性をみる目的でまず初めに不斉アリル化反応へ応用したところ、Pd(0)との組み合わせで不斉アリル化反応を効率よく触媒することが分かった.環状構造のアリルエステルヘ適用を検討したところ、2位の置換基の嵩高さが不斉合成に大きく影響することが判明した。2-フェニルシクロヘキシルメチルカーボネートの反応では95%eeの不斉収率が得られた。この反応の応用として現在パンクラチスタチンの合成研究を検討している。一つの不斉配位子が全ての反応で有効に働く例は少なく、多種多様な不斉配位子の登場が待たれている。我々の開発した9-PBNは特徴ある配位子であり、これが入手容易になれば、この分野の研究の発展に貢献するものと思っている。
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[Publications] Y、Hamada, N、Sato, H、Oumori, K、Hatano: "Hero Mono dentale Chiral Phosphine,2,6Dimethyl-9-phenyl-9-phospha bicyclo [3.3.1]nonane (9-PBN).Application to Asymmetric Allylic Substitution Reaction" Tetrahedron hetlers. 37. 7565-7568 (1996)