1997 Fiscal Year Annual Research Report
ナトリウムチャンネル分子機能異常疾患治療薬開発のための構造化学的基礎研究
Project/Area Number |
09470493
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒田 義弘 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (90093236)
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Keywords | ナトリウムチャンネル / 不活性化ゲート / ペプチド / 局所麻酔薬 / ジブカイン / フォスファチジルセリン / リポソーム / NMRスペクトル |
Research Abstract |
1.ペプチドの合成 下記のヒト脳のNaチャンネルのIII-IVリンカー部のアミノ酸配列 DNFNQQKKKFGGQDIFMTEEQKKYYNAMKKLGSKKPQKPIPRPANKFQGMVFDから、3つの連なった疎水性アミノ酸IFM部分を含む以下のペプチドを本年度購入したペプチド合成機(モデル433A)を用いて合成した。 1)MP-1A:Ac-GGQDIFMTEEQK-NH_2 2)MP-2A:Ac-GGQDIQMTEEQK-NH_2 3)MP-1NA:Ac-GGQNIFMTEEQK-NH_2 4)MP-1QEA:Ac-GGQDIFMTQEQK-NH_2 5)MP-1EQA:Ac-GGQDIFMTEQQK-NH_2 6)MP-QQA:Ac-GGQDIFMTQQQK-NH_2 7)MP-1NQQA:Ac-GGQNIFMTQQQK-NH_2 8)MP-3A:Ac-KKKFGGQDIFMTEEQKK-NH_2 9)MP-4A:Ac-KKKFGGQDIQMTEEQKK-NH_2 2.NMRスペクトルの測定 (1)MP-1A,MP-2A,MP-1NA,MP-1QEA,MP-1EQAによるPhosphatidylserine(PS)リポソーム溶液中の局所麻酔薬ジブカインのプロトンNMRの化学シフトへの影響について研究した結果、MP-1Aはジブカインのキノリン環プロトンのピークを高磁場シフトさせたのに対して、MP-2Aは逆に低磁場シフトさせた。このことから、ジブカインのキノリン環とIFM部分のFの芳香環とがπ-πスタッキング相互作用している事が証明された。また同じキノリン環の化学シフトは、MP-1EQAにおいても最も強く影響を受け、MP-1NAにおいて最も影響をうけなかった。これらの結果は、IFM直前のDのマイナスチャージおよIFMTの次のEのマイナスチャージがジブカインの三級アミン窒素のプラスチャージとの静電相互作用に重要である事が分かった。
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