1998 Fiscal Year Annual Research Report
ナトリウムチャンネル分子機能異常疾患治療薬開発のための構造化学的基礎研究
Project/Area Number |
09470493
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒田 義弘 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (90093236)
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Keywords | ナトリウムチャンネル / 不活性化ゲート / ペプチド / ミセル / NMRスペクトル |
Research Abstract |
1. ペプチドの合成 ヒト脳のNaチャンネルのIII-IVリンカー部のアミノ酸配列は DNFNQQKKKFGGQDIFMTEEQKKYNAMKKLGSKKPQKPIPRPANKFQGMVFDである。この中で3つの疎水性アミノ酸IFMが不活性化ゲートとして最も重要な部分であり、F(フェニルアラニン)をQ(グルタミン)に置換すると不活性化ゲートが閉じなくなる。本年度はFをQに置換した事による構造の違いを研究する為に、IFM部分を含む17残基からなるペプチドMP-3A(Ac-KKKFGGQDIFMTEEQKK-NH_2)およびMP-4A(Ac-KKKFGGQDIQMTEEQKK-NH_2)を固相合成法(Fmoc法)に基づいて合成し、逆相HPLC(ODSカラム)にて精製した。得られたペプチドを大気圧イオン化マススペクトルにより、分子量を確認した。 2. NMRスペクトルの測定 MP-3AおよびMP-4Aについて、各種二次元NMRスペクトル(COSY,TOCSY,NOESY)の測定をトリフルオロエタノール(TFE-d_2)溶媒、およびリン酸緩衝液(H_2O:D_2O=9:1;pH4.5)に200mMのSDS-d_<25>を加えて調製したミセル溶液それぞれにペプチドが3mMになるように溶かした溶液について行った。NOESYにより得られた距離情報に基づいて、50個の初期構造から、imsight II/Discover(NMRRefine)を用いたSimulated Annealing法による計算を行いエネルギーの低い方から10個の構造を重ね合わせて高次構造を決定した。その結果、TFE-d_2溶媒中においてはMP-3AおよびMP-4Aともにα-へリックス構造をとり大きな違いは見られ無かったがSDSミセル中においてはMP-3AのIFM部分はへリックス構造であったが、MP-4Aはシート状にのびた構造であり両者に違いが見られた。
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