1997 Fiscal Year Annual Research Report
薬物依存形成における可塑的神経機能変化の分子機構の解明
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09470503
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 公道 京都大学, 薬学研究科, 教授 (80025709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 雅文 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (20243040)
佐治 英郎 京都大学, 薬学研究科, 教授 (40115853)
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Keywords | オピオイド受容体 / 麻薬依存形成 / 禁断症状 / アデニル酸シクラーゼ / 過感受性 / Gタンパク質 / Ca^<2+>チャネル / 可塑的神経機能変化 |
Research Abstract |
麻薬依存形成・禁断症状発現時に、脳内において見られるアデニル酸シクラーゼ(AC)系の代償的な過感受性のメカニズムを分子レベルで解明するため、クローン化オピオイド受容体を安定的に発現するCHO細胞を用いて検討した。アゴニスト持続的処置によるAC系の過感受性は、オピオイド受容体サブタイプにかかわらず、比較的短時間(数分〜数時間)のうちに、持続的処置にするアゴニストの濃度に依存して形成され、また百日咳毒素の前処置により阻害されることを明らかにした。各種プロテインキナーゼ阻害薬はその形成に影響を与えず、また、過感受性形成時にGTPase活性は変化しないことから、受容体のリン酸化および受容体-Gタンパク質連関における効率の変化よりも、むしろ、Gタンパク質-AC連関における機能亢進が関与していることを明らかにした。さらに、オピオイド受容体とキメラGαi2/Gαqを共発現させたCHO細胞を用いた検討より、過感受性形成にはGαi2のACとの相互連関に関与する部位(Met^<244>-Asn^<331>)が必須であることを明らかにした。また、アフリカツメガエル卵母細胞にオピオイド受容体およびN型あるいはQ型Ca^<2+>チャネルを同時発現させ、電気生理学的検討を行ったところ、アゴニスト持続的処置で生じる脱感作の速度はN型とQ型Ca^<2+>チャネルサブタイプ間で異なること、発現させるオピオイド受容体サブタイプ間で交差脱感作が生じること、脱感作の形成にはリン酸化は関与しないことを明らかにした。また、薬物依存形成と類似性のある神経機能の可塑的変化として、海馬切片標本を用いた長期増強現象の電気生理学的解析を行い、outside-outパッチをセンサーとして用いることにより、海馬CA3野の長期増強発現に並行してシナプス前神経終末からのグルタミン酸遊離増加が起こっていることを世界で初めて直接的に明らかにした。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.,Maeda et al.: "Direct evidence for increase in excitatory amino acids release during mossy fibler LTP in rat hippocampal slices as revealed by the patch sensor methods." Neurosci.Lett.224. 103-106 (1997)
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[Publications] S.,Kaneko et al.: "Inhibition of Ca^<2+> channel current by μ- and κ-opioid receptors coexpressed in Xenopus oocyte : desensitization dependence on Ca^<2+> channel α1 subunits." Br.J.Pharmacol.121. 806-812 (1997)