1997 Fiscal Year Annual Research Report
がん患者とその家族を対象とする医療相談システム開発のための基礎研究
Project/Area Number |
09470517
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Japanese Red Cross College of Nursing |
Principal Investigator |
竹中 文良 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (40288064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝倉 隆司 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (00183731)
奥原 秀盛 日本赤十字看護大学, 看護学部, 講師 (60288066)
守田 美奈子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 助教授 (50288065)
佐藤 裕子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (90234616)
樋口 康子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (50198991)
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Keywords | がん患者 / がん患者の家族 / 告知 / サポートニード / 相談システム / 調査研究 |
Research Abstract |
がん患者とその家族を対象とする医療相談システム開発のための基礎研究の1年目として、がん患者とその家族の医療者へのサポートニードの実態を、この調査のために作成したがん患者版と家族版の2種類から成る質問紙によって明らかにした。対象は関東地区の総合病院17施設に入院あるいは外来通院しているがん患者624名(回収率45.1%)、とその家族460名(回収率35.9%)であった。家族は全員がん告知を受けていたが、がん患者は告知されている者は350名(56.1%)であった。そこでがん患者の場合は告知群350名と非告知群274名を分けて分析した。結果、A病気に関係する事柄、B日常生活に関する事柄、C他者によるサポート状況、D患者自身の価値や信念に関係する事柄、E社会的な役割に関係する事柄、F経済的な事柄の6下位尺度を含む満足度尺度全体では告知群は有意に低い満足度であった(t=2.84、p<.01)。下位尺度では、A病気に関係する事柄(t=2.70、p<.01)、D患者自身の価値や信念に関係する事柄(t=2.79、p<.01)、E社会的な役割に関係する事柄(t=2.91、p<.01)、F経済的な事柄(t=2.26、p<.05)で同じく告知群が有意に低い満足度であった。さらに同じ下位尺度を含む重要度尺度全体でも告知群は非告知群より重要度も有意に低かった。健常者との比較は今回は行っていないが、がん告知患者に対するサポートニードがとりわけ急務であることは示唆された。家族の調査は患者版の下位尺度を家族版に修正した6下位尺度の他に、G家族自身の健康管理に関係する事柄、H患者との関係についての事柄の2下位尺度を追加し満足度と重要度を明らかにした。分析の結果、満足度では、A病気に関係する事柄、H患者との関係についての事柄は高かったが、C他者によるサポート状況、E社会的な役割に関係する事柄、F経済的な事柄では低く、医療者による何らかのサポートが必要であることが示唆された。また重要度では、H患者との関係についての事柄やC他者によるサポート状況が高く、家族を取り囲む他者の援助的な介入が必要であることが伺われた。2年目以降は医療相談システム開発にあたり今回の調査結果を考慮に入れながらシステム開発の施策を具体化させていく予定である。
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