1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09470518
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
稲田 紘 国立循環器病センター研究所, 疫学部, 部長 (20028393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関田 康慶 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (20107113)
堀尾 裕幸 国立循環器病センター研究所, 疫学部, 室長 (20157069)
小坂井 嘉夫 国立循環器病センター, 心臓外科, 主任医長
宮武 邦夫 国立循環器病センター, 生理検査機能部, 部長
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Keywords | 臓器移植 / 経済的問題 / 心臓移植 / 費用分析 / 費用-効用分析 / 費用-便益分析 / 心臓移植経費 |
Research Abstract |
臓器移植法が制定・施行されたため、ドナーが現れ次第、脳死移植も可能となったが、移植医療の定着には、経済的問題に関する検討も重要である。そこで、心臓移植を例に取り、それに関する経済的問題として、費用分析、費用-効用分析および費用-便益分析に関する考察を行おうとした。平成9年度は、このための方法・モデルについて検討するとともに、費用分析を試みた。以下にこれについて、これまでに得られた結果の概要を示す。 (1)費用分析の方法:(1)心臓移植経費のうちの直接経費として、移植手術と術後管理の経費を算出する。この算出にあたり、関連学会・研究会で検討されている心臓移植費用の概算予測法を基本に、我々の考え方を加味する。(2)心臓移植経費のうちの間接経費として、ドナー心に輸送費、移植コーディネータの人件費、臓器移植ネットワークシステムの運用経費などの算出を行い、この合計と(1)の直接経費の和を心臓移植経費とする。(3)移植を行わない末期心不全患者について、心臓移植をすべきcritical pointとなる時期以降における患者管理のための諸検査、患者監視、薬物治療などに要する経費を算出する。(4)上記の末期心不全患者の診療費の総額を、拡張型心筋症などにより国立循環器病センターに入院し、死亡した症例について計算し、その平均値を求めて、前述した(3)の結果と比較・検討する。 (2)心臓移植経費のうちの直接経費(紙面の都合上、結果のみを示す)の概算結果:(1)ドナー心の摘出費用;2,300,000円、(2)心臓移植手術費用;2,940,000円、(3)術後の入院費用(2ケ月入院として);8,210,000円、(4)術後管理費用(1年目);4,890,000円、(5)術後管理費用(2年目以降);4,060,000円/年、のような結果となった。 次年度は、その他の経費の試算を行うとともに、結果の妥当性を検討する。また本年度の検討結果に基づき、費用-効用分析、費用-便益分析についても具体的な検討を進める。
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