1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09470521
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
三木 義男 財団法人癌研究會, 癌研究所・遺伝子診断研究部, 部長 (10281594)
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Keywords | 乳癌 / H-カドヘリン / Mutation Screening |
Research Abstract |
遺伝子診断の臨床応用を確立するために、新たな遺伝子を同定するとともにその関与が判明している遺伝子の役割を詳細に解析することが重要である。そこで、2000例におよぶ一般乳癌とその正常組織をペア-で集積し、候補遺伝子変異のスクリーニングを行った。Samらによって乳癌細胞で発現の消失するH-カドヘリンが同定された。この遺伝子は16q24に位置し、その領域は一般乳癌において約50%と高頻度の染色体欠失が認められていることから、H-カドヘリンを乳癌の癌抑制遺伝子候補と考え16q24領域の欠失している一般乳癌を対象として、変異のスクリーニングを行った。48例の乳癌組織およびその正常粘膜から、RNAを抽出しH-カドヘリンの全翻訳領域をreverse transcription(RT)-PCR-SSCP法でスクリーニングし、バリアントに対してsequencingで変異を同定した。H-カドヘリンのexpressionは検索した乳癌の80%〜90%において低下していることを同定したが、1次構造上の変異はコドン53と54の5塩基の欠失が1例に認められただけであった。この変異は正常組織では検出されなかったことから体細胞レベルの変異と判断した。乳癌におけるH-カドヘリンの変異の頻度は極めて低いことから、ヒト乳癌の発生においてH-カドヘリン遺伝子の変異は主たる原因ではないこと、また、その発現の低下は他の遺伝子、あるいはそれら遺伝子を含んだ機構の異常の結果として認められることなどが推測された。 TSG101は11p15に存在し、癌抑制遺伝子と考えられており乳癌において遺伝子内の欠失が認められたと報告された。そこで、48例の乳癌において検討したが報告された欠失は認められず、現在、さらに詳細な解析を進めると同時に、他の候補遺伝子の乳癌における変異のスクリーニングを進めているところである。
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[Publications] Miki Y.et al.: "Infrequent mutation of the H-cadherin gene on chromosome16q24 in Human breast cancers" Jpn.J.Cancer Res.88. 701-704 (1997)
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[Publications] Emi M.et al.: "Multiplex mutation screening ofthe BRCA1 gene in 1000 Japanese breast cancers" Jpn.J.Cancer Res.89. 12-16 (1998)