1997 Fiscal Year Annual Research Report
食品中バイオフラボノイドの薬物体内動態に及ぼす効果の生物薬剤学的研究
Project/Area Number |
09470524
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
澤田 康文 九州大学, 薬学部, 教授 (80114502)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高長 ひとみ 九州大学, 薬学部, 助手 (20284523)
正山 征洋 九州大学, 薬学部, 教授 (70037604)
|
Keywords | バイオフラボノイド / グレープフルーツジュース / P糖タンパク質 / 薬物相互作用 / MBEC4細胞 |
Research Abstract |
グレープフルーツジュースが高血圧治療薬(ニフェジピン、フェロジピン、マニジピン、ベラパミルなどのカルシウム拮抗薬)、抗ヒスタミン剤(テルフェナジン)、免疫抑制剤(シクロスポリン、タクロリムス)、睡眠薬(トリアゾラム)などの作用を増強することが報告されている。この要因として、食品中に存在するバイオフラボノイドが薬物の体内動態に影響を与えることが報告されるようになり、その臨床上の重要性が指摘されるようになった。我々の生活環境内、食生活にはバイオフラボノイドとして多種多様なものが存在しており、申請者は薬物とバイオフラボノイドとの体内動態に関する相互作用を定量的に検討した。 バイオフラボノイド及びP糖蛋白質(P-gp)の基質としてそれぞれ主にケルセチンおよびビンクリスチン(VCR)を用い、マウス継代脳毛細血管内皮細胞(MBEC4細胞)を用いたin vitro実験及びマウス尾静脈投与によるin vivo実験での脳内VCR濃度対血漿中VCR濃度比(Kp値)の変化によりVCRの脳移行性評価を行った。その結果、in vitro実験においてMBEC4細胞によるVCRの取り込みは低濃度ケルセチンにより減少し、高濃度ケルセチンにより増加した。更に低濃度ケルセチンによりエフラックス過程の促進が認められた。またin vivo実験において低濃度ケルセチン併用投与によりVCRの脳移行性が減少し、高濃度ケルセチン併用投与によりVCRの脳移行性に増加傾向が認められた。従って、バイオフラボノイドの濃度によりP-gpに対し活性促進及び活性阻害の両面の効果が現れ、促進機構についてはP-gpのリン酸化促進の関与が示唆された。
|