日本企業の海外直接投資・部品調達が地域経済に及ぼす影響についての実証・理論研究

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09480020
• Research Institution: Kyushu University
• Principal Investigator: 矢田 俊文 九州大学, 経済学部, 教授 (30061188)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 柳井 雅人 北九州大学, 経済学部, 助教授 (70239789) ; 松原 宏 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50181748) ; 山崎 朗 九州大学, 経済学部, 助教授 (10191248) ; 久野 国夫 九州大学, 経済学部, 教授 (90136416)
• Keywords: 雁行形態型産業発展 / 産業構造の同質化 / 生産の空洞化 / グローバル立地戦略 / 相互補完型供給体制 / 研究・開発機能 / 部品の共通化 / 産業発展パターン

Research Abstract

1.1980年代頃には一人当たり国民所得を規準にした日米などの先進国=先端技術製品、アジアNIESなど新興工業国=既存機械工業製品、アジアNIES以外の中国・アジアの発展途上国=繊維などの労働集約型製品、といった経済発展段階ごとの製品のすみ分けが確認できたが、近年では先進国の直接投資の進展により、中国・アジア諸国の工業化が全体として平準化しつつあり、製品ごとの分業関係はくずれつつある。したがって製造工程や企業別といった製品種類以外の視点から分業関係の有無を調査する必要がある。
2.日本国内でも工場ごとの分業関係に変化が生じつつある。国際競争が著しい自動車の例でみれば、車種別の分業関係が進みつつあるが、集約化は一段とグローバル化しつつある。全体として関東など都市部に立地する事業所は生産拠点としての性格が薄まりつつある。
3.九州の生産拠点の位置づけは工場立地のグローバル化、中国・アジア全体としての工業化の底上げのなかで性格付けが難しくなりつつあるが、20年以上の生産経験はあなどれない利点となっており、その企業内での位置づけについては個別ケースごとの実熊調査が必要である。