1997 Fiscal Year Annual Research Report
教師教育の視座に立つ子どもの社会化と教師の認知様式に関する実践的研究
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09480034
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
浅田 匡 神戸大学, 発達科学部・附属人間科学研究センター, 助教授 (00184143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蘭 千壽 防衛大学校, 教授 (90127960)
稲垣 成哲 神戸大学, 発達科学部, 助教授 (70176387)
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Keywords | 子どもの社会化 / 教師教育 / 社会的構成主義 / 非均衡型認知理論 / 学級適応 / 授業予測 / 社会文化的アプローチ |
Research Abstract |
本年度は、研究分担者がそれぞれ研究プロジェクトを編成し、研究を行なった。浅田グループは、3つの研究を行なっている。子どもの社会化に関して、第1の研究は学級適応と子どもの自己概念との関係を教師評価と関連させた1年間の変容を探った。ここでの興味深い結果は、転任してきた教師の学校適応過程が子どもの社会化(学級運営)に大きく反映することである。第2の研究は、授業および授業外の両場面において教師評価と子ども評価とのズレの変容を探った。そして、その変容の原因の1つとして、子ども理解の側面と子ども理解に関連する教室での出来事の把握の変容を探った。ここでは、教師の期待(教育目標への到達)の伝達システムが機能するがどうかが、教室運営上かなり大きな役割を果たすことが示唆された。子どもの社会化に関する教師教育の観点から、子ども理解に基づく授業予測のあり方を1年間を通して探った。子ども理解が授業予測に直接的に機能するというよりも、教材内容を学習する過程において教師自身が子どもの思考過程などを把握するための手だての決定に機能することが示唆された。稲垣グループは、社会的構成主義の立場から、小学校理科およびコンピュータ活用の授業を対象に、子ども同士の人間関係の変化を分析し、新しい学習のあり方、つまり子ども同士の人間関係の変化による学習内容の認識(知識獲得)の変化を明らかにしつつある。蘭グループは、教師の子どもをとらえる視点の分析を行ないながら、新しいシステム理論を援用して教育場面、特に学級運営に関して非均衡型認知理論の構築をめざした提案・検討を行なった。 また、浅田、蘭はアメリカにおける教師教育・授業研究の専門家による研究計画に関するレビューを受けた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 稲垣成哲: "構成主義が教室を変える日はくるか" 日本教育心理学会第39回総会発表論文集. S28-S29 (1997)
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[Publications] 蘭千壽・高橋知己・中元昭広: "教育場面における非平衡型認知理論の検討" 防衛大学校紀要(人文科学分册). 74. 19-54 (1998)
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[Publications] 稲垣成哲・山口悦司・上辻由貴子: "社会文化的アプローチ『これからの理科教育を語る50のキーワード』" 東洋館出版(印刷中),