1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09480077
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田村 昌三 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (30114557)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿久津 好明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30175814)
新井 充 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (30232028)
|
Keywords | セタン価 / 自動酸化 / ヒドロペルオキシド / 加圧DSC / オクタン価 / 燃焼開始温度 |
Research Abstract |
1.各種アルカンの自動酸化により生成するヒドロペルオキシドのセタン価向上効果について検討した。その結果、アルカンの自動酸化によるヒドロペルオキシド生成速度定数は、水素引き抜き速度定数から推算可能であること、そして、n-アルカンのセタン価向上効果はヒドロペルオキシド濃度により決まり、炭素数には依存しないことがわかった。さらに、ナフタレンを添加したn-セタンでは、ヒドロペルオキシドの生成が非常に抑制され、自動酸化による向上効果は示さなかった。 2.ガソリン燃料を構成する炭化水素の自然発火性を系統的に評価し、オクタン価との関連性について知見を得るために、ノッキングの発生源となる未然ガスの自然発火時の圧力50atmに設定可能な加圧DSCを用いて燃焼開始温度を測定し、自然発火性との関係を調べた。2,4-ジメチルヘキサンは、直鎖のアルカンに比べてオクタン価は高いが燃焼開始温度は低いことがわかった。これは、加圧DSCによる測定では、低い温度で長時間測定するため高温の反応が起こりにくく、燃焼時に生成するアリルラジカルの量が少ないこと、及び、3級水素が2個存在し、分子内水素引き抜き反応などが起こりやすくなるためと考えられる。次に、オクタン価測定の標準燃料であるイソオクタンとn-ヘプタンの混合物の燃焼開始温度を測定した。n-ヘプタン濃度が40%以下の時にはオクタン価の増大とともに燃焼開始温度が上昇し、自然発火性が減少していたが、n-ヘプタン濃度が50%以上の時は、燃焼開始温度はn-ヘプタンと同じか、低くなった。これは、n-ヘキサンが多い場合、分子内水素引き抜き反応を起こし、ラジカル連鎖反応が始まってしまうためと考えられる。そして、加圧DSCの燃焼開始温度が低温での酸化反応に基づいている可能性が高いことが示唆された。
|